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「奈緒は誰が欲しいの?」
そんなのとっくに
分かってるけど。
あの夜のように
潤んだ瞳で懇願して欲しくて。
「───ご…めっ…」
「違うだろ。
誰のがいいのかって聞いてんの」
言えよ奈緒。
あの夜みたいに俺を見て、
あの夜みたいにその唇で。
───俺が欲しいって。
「謝罪とかいらねーから。
お前は誰が欲しいのか、
それだけ答えろ」
言葉を失った奈緒の瞳は
ただ俺を見上げて
瞼に涙をためて行く。
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