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僕は周りのみんなより体力が劣っている。入隊してすぐに分かった。最初の体育測定の時から他のみんなとは違いを感じていた。
運動が好きかと言われれば、好きではなかったが、中学の体育で足手まといになるほどではなかった。
それはただ僕が世間知らずの蛙だっただけだった。実際入隊してみて痛感した。僕に体力があったのではなく、みんな同じように体力がなかっただけだった。
僕がその場から立ち上がれるようになる頃には、伏見教官は僕から距離を取り、持っていたノートにメモを取っていた。
「気にするな」
俯く僕に羽柴が僕の肩を叩く。
教官チェックが入った事は間違いなさそうだった。
「大輔くんまずは自分のペースでやってみたら?」
「そうだ、まずは完走する事だけ考えろよ」
水島が泥だけになったままの銃をそっと手渡す。僕の在籍番号が書かれた銃を受け取ると、僕は教官の顔を伺った。
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