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気付いたら、伏見教官の顔が直ぐ近くにあって、木々の隙間から空が見える。ちぎれ雲が浮いている青い空。
冷たい。
水をかけられたのか……
手を上げるとすぐに分かった。
銃がない。
「目覚めたか」
伏見教官の心配そうに覗き込む。
「……はい、大丈夫です」
そう言ったものの、頭の奥はぼーとしていて、ここがどこだか詳しく分からなかった。
泥を思いっ切り跳ね飛ばしながら近付いてくる足音、聞き慣れたブーツの音が僕の前に来て止まった。
「山口」
「大輔君?」
声の方向に顔を向けると羽柴と水島の姿があった。肩から胸にかけて訓練服が汗で濡れていて、肩から蒸された汗が白い湯気を立てていた。
二人は抱えていた銃をそばの草むらに置くと、肩で呼吸をしながらも屈み込み、心配そうに僕を見つめていた。
情けない。
途中で倒れたのか……これで2度目。
伏見教官が渋い顔をする。
次ぎ倒れたら、後がないかもしれない。
もし次ぎ倒れたら前線部隊には配属されないだろう。
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