2019/08/02 13:20 北海道 旧陸上自衛隊 東千歳演習場

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 気付いたら、伏見教官の顔が直ぐ近くにあって、木々の隙間から空が見える。ちぎれ雲が浮いている青い空。  冷たい。  水をかけられたのか……  手を上げるとすぐに分かった。  銃がない。  「目覚めたか」  伏見教官の心配そうに覗き込む。 「……はい、大丈夫です」  そう言ったものの、頭の奥はぼーとしていて、ここがどこだか詳しく分からなかった。  泥を思いっ切り跳ね飛ばしながら近付いてくる足音、聞き慣れたブーツの音が僕の前に来て止まった。 「山口」 「大輔君?」  声の方向に顔を向けると羽柴と水島の姿があった。肩から胸にかけて訓練服が汗で濡れていて、肩から蒸された汗が白い湯気を立てていた。  二人は抱えていた銃をそばの草むらに置くと、肩で呼吸をしながらも屈み込み、心配そうに僕を見つめていた。  情けない。  途中で倒れたのか……これで2度目。  伏見教官が渋い顔をする。  次ぎ倒れたら、後がないかもしれない。  もし次ぎ倒れたら前線部隊には配属されないだろう。
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