0人が本棚に入れています
本棚に追加
ミーン、ミーン。
蝉が鳴く蒸し暑い例年通りの夏のこと。
俺はいつも通りサッカーの練習を終えた後、教室に忘れ物を取りに行き、帰宅する準備を行っていた。
「湊、どうかした?顔が疲れてるよ?」
まだ教室に残っていたひとりの女の子が話しかけてきた。この子の名前は桜井泉。俺の幼なじみで昔から仲が良い。髪の色は黒で、制服はセーラー服。ちなみに泉は昔から勘が鋭く、何かしらにつけて俺の表情を読み取っていた。
更に頭が良く、顔も整っているほうなので男子受けもいい。しかし、運動はこれといっていいほど、センスがない。
「あぁ・・なんか今日は嫌な感じがするんだよ」
泉に言っても仕方がないことなのだが、
今日の俺は何か調子が悪いらしい。昨日精神統一して水風呂したせいだろうか。
「湊は明るいのに変なところで考え込むからなぁ・・」
泉に心配をかけたらしい。ここはあまり負担をかけずにいったほうがいいだろう。とりあえずだじゃれでも言ってみた。
「桜井泉さん、だじゃれいくぞ。泉が泉で瑞瑞しい水を飲んでいた!」
なるべく明るい口調で言ったが、泉の反応はどうだろうか。
「は?なに言ってんの?頭大丈夫?」
頭の心配をされた。うん、自分でもクオリティー低いと思った。
そう思った俺は諦めて、帰りの支度を再び始めた。
最初のコメントを投稿しよう!