誘拐

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教科書やらノートやらを取り出し、帰りの支度を仕上げかけていると、突然彼女がこう提案してきた。 「よし、今日は一緒に帰ろうよ。そうしよう、湊」 「え?今日もだろ?」 俺は冗談で言ってみた。 すると、泉がなにやら不機嫌な様子を露にしていた。 「はい?湊なんか言った?」 「えー、聞こえなーい」 パスッ! 頭をタオルケットで撲られた。 そして、更に パスッ!パカッ!バスっ!バキッ! 「いてえ」 この女・・・タオルでこんな音出すとかどんだけ殺意あんだよ。タオルの音楽会かよ。 「あのなあ・・・そんくらいで怒るなよ」 俺は泉にそう言った。だが、それは無駄な抵抗だった。 「今日は帰りに寄るところあるから。よろしくね」 「まだ帰るっていってないだろ?」 「はいはい、湊おじさん、帰りましょうねー」 軽くあしらわれ、俺には選択肢がひとつしかなくなった。
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