124人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疑いでしたら、わたくしめの住まうところへ、伴い申しましょう」
女は立ち上がり、中間三名を引き連れて、縁の下に向かった。
当時の武家屋敷、特に大名家の上屋敷などは、現在は大学や庭園、遊園地として残るほど広大な敷地を有していた。
その屋敷の縁の下である。
一行は、気が遠くなるような広さの縁の下を、苦労しながらしばらく進む。
すると……
やがてその一角に、呉座蓙(ござむしろ)を敷いた上に、どこから集めたのか、古い碗や茶碗などが並べられた場所に出くわした。
女は、振り向くと、
「此処が我が家にてございます」
艶然と微笑みを浮かべた。
これには、さすがの屈強な男たちの背中にも、ざわざわと冷たいものが走った。
最初のコメントを投稿しよう!