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さて、屋敷に戻り、御年寄が、その夫たる者は何者かと問うても、
「なにをおっしゃいます。かねてより、存じよりのはずではございませんか」
などと、女は曖昧なことを言うばかりである。
そこで、これはいよいよ気が触れたにちがいないと、在所から親を呼び寄せ、暇(いとま)を与えることになった。
親は、娘が見つかったことをたいへん喜び、在所に連れて帰り、いろいろと医薬を尽くし、手厚く療養させた。
しかし、その甲斐もなく、ほどなくして、娘は身まかったということである。
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