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わたし、必死で記憶の糸をたぐり寄せる。
――落ち着け。
落ち着くのよ、わたしっ。
まずは、わたしの名前。
桐生乃愛瑠[きりゅうのえる]、もうすぐ16歳。
日本の平凡な高校生……のハズ。
「……でも、ココ、日本……じゃない、よねぇ?」
もう一度周囲を見回し、不安になる。
……ううん。
大丈夫。
自分の記憶に間違いはない――。
1回大きく深呼吸して、更に記憶の糸をたぐっていく。
そうして、たぐり寄せた自分の記憶に、わたしは唇を噛み締めた。
……夢?
どれが?
どこからが?
ギュッと唇を固め、ゆっくりと頭の中を整理していく。
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