クラス委員長のお仕事と生徒会

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カバンに入れていた知恵の輪をしながら流し気味に聞いていてふと前を向いたら全員の目線がこちらを向いていた。思わず手を止めてゆっくりと知恵の輪をカバンに戻すと違和感をかんじた。ああ、よく見たら目線は僕を見てはいない、その目線の先を追うと、 「生徒会長さーん、私ちょいと質問があるんだけど良いですかい?」 隣に凄いテンションで手を挙げていた結月がいた。いらない注目を集めてたって理不尽な感情もあるけど明らかな八つ当たりだからやめよう、静かに結月を見守る。 「君は確か今年転向してきた佐倉さんだよね。ここの鬼畜な転入試験に合格したって生徒会でも君の噂をしていたんだよ。それで質問って?」 「おー私は大したことないよ。それで質問なんですけど参考までに聞くけど去年の卒業生は旅行、何処に行ったの?」 「去年の先輩方は沖縄で……堺、今年の2年は何処だっけ?」 生徒会長が話しかけた隣にいた女の子は見覚えがあった。誰だっけ、去年全然学校行ってなかったからな。 「はい、今年の2年は行先は未定ですが北方面でのスキーで決まりそうです」 堺……さかい、ああ、 「千晶ちゃんだ」 僕とおんなじクラスの堺真のいも妹の堺千晶(ちあき)ちゃん、オタクで勉強嫌いな真に対して彼女は努力家で礼儀正しい子だ。僕が去年入院した時も真と共にお見舞いにも来てくれた。でもその時は確か眼鏡はしていなかったけど今はしている。眼鏡で人の印象結構変わるよね。 そして僕が呟いた声は千晶ちゃんに聞こたみたいで彼女は僕に軽く会釈をしてきたから僕も返す。 「だそうだよ佐倉さん。参考になった?」 「はい、ありがとね生徒会長さん」 質問を終えて座る彼女を横目に僕が思った事は結月のコミニュケーション能力の高さだ。こんな人が集まってしかも静まり返っている場所でとくあんなにフランクに話す事が出来るよな。比較的コミュ障の僕からすれば驚きだよ、羨ましくは無いけど。 「他に質問は無いかな? 無いようなら今日はここで終わりとしましょうか。一週間後の今日にまた委員会を開くのでご足労だけどよろしくね。では終わりましょう」 思った以上に早く終わった。他の人たちも生徒会室を出て行っているし僕も帰ろうかな。なんか最近マカロンと戯れるのが楽しみになっている。犬って可愛いよね。 
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