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「へえ、下の名前で呼び合ってるけどそういう仲か。美男美女同士お似合いだ。残念だったな千晶」
「そ、そんなことはありませんよ。そんなことは……」
ニヤニヤするな七衣、それに結月も。
「僕と結月は付き合っていないから、赤の他人だから」
「そこまで言っちゃうか、傷つくよねー」
嘘つけ。
「なんか腐れ縁で同じマンションに住んでるだけ」
結月に関してはいつものノリだが七衣も意外にノリがいいな。これは一緒に来ると性質(たち)が悪いかもしれない、注意しないと。
「そんな話はどうでもいいけどさ」
「どうでもいいんかいっ!」
………………、
「七衣は僕に用があるから呼び止めたんでしょ、話って何?」
「ああすっかり忘れていた、すまない三味くん。それで君に折り入ってお願いがあるんだが聞いてくれないかい?」
顔の前で手を合わせる七衣、
「……まだそのお願いとやらを聞いてないんだけど」
「ごめん、もしかしたら二つ返事で聞いてくれるかなって思って。で、そのお願いなんだけど、生徒会に入らないかい?」
「生徒会に?」
「おぉー、生徒会かあ! まさに青春って感じだね!」
「なんで僕を生徒会に?」
さっきなでの目つきと違った。さっきまではおふざけだったが今は生生徒会長としての威厳みたいなものを感じた。少しだけど。彼なりに何か考えているのだろう。
「簡単に説明するならこれから残り一年の高校生活を満喫するため、もっといいものにする為だね」
「うん、分かりやすいけど漠然としてるよね。ごめん、もう少し具体的に頼みます」
その説明で僕が納得して生徒会に入ると思ったのなら……七衣、面白いかもしれない。
「やっぱそうだよね。でもこの先の話はちょっと他人には内密にしてほしい。佐倉さんも」
「僕はお喋りはそんなに好きじゃないから大丈夫だよ」
「ミートゥー」
そのme tooの使い方はおかしいだろ。
「そう、それは助かる。千晶ちゃん、すまないがドアに鍵を掛けて貰えるかな?」
「分かりました生徒会長」
ドアの近くにいた千晶ちゃんは静かにドアの鍵を掛けた。
「一般生徒には聞かれちゃあマズイ話だからね。それじゃあ話を始めようか」
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