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「千晶ちゃんは解る? 交渉に大事なこと」
「解りますがそれは……」
やっぱりいい子だ、七衣生徒会長の補佐に千晶ちゃんみたいな礼儀正しく真面目な人材がいるからこそ生徒会が成り立っているのだろう、会社の縮図だな。
「大丈夫だよ。僕は気にしないから」
「…………?」
結月の頭にクエスチョンマークが見えた。確かに見えた。
「では恐れながら。教師や校長、それに理事長が恐れるのは如月さんが持っている名前というブランドです。それに含め全国トップレベルの学力とさっき結月さんも言ってましたが先輩の持っているカリスマ、特に女子生徒からの人気も十分な武器になります」
改めて聞くととても恥ずかしい。でも最後は果たしてどうだろうか。
「如月のブランド……分かった! お金だっ」
やっと分かったか。
「正解佐倉さん。僕が欲しいのは如月財閥と言う名前だね。この学園は私立でしかも如月財閥が創生に大きく関係している。僕から言っちゃえば理事から考えれば逆に今まで彼が何かしらの行動を起こしていない事が逆に冷や汗ものだろうと思うし。ああごめんね如月くん」
「別にかまわないよ。そこまではっきり言われると逆に気持ちがいい」
黒いわけではないのだろうが考え方が鋭い。どう考えどう動けば自分の思った通りの結果が出るかちゃんと分かってるから。今回は僕と利害が一致しているし自分含め生徒の為を思って動いているところはかなり好感が持てる。それにこんな考えを持っている彼に会えたことは嬉しいことだ。
「あまりの無理難題は断られるだろう。でもあちら側の誤算は如月くんが頭が良く良心があることだ。立場上、正論で押し通せばあちらは断ることは厳しい。やらないだろうけど校長や理事長が断ったら自分の立場が怪しくなる。その可能性をあちらは絶対無いとは言い切れない。それぐらいならゴマをする方が利口なわけだよ」
「ほうほう……流石は生徒会長さん、考えが深い」
感心する結月。もったいないよな、社会性もあって学力も悪く無い。あとは想像力と創造力があれば言うことは無いな。コロンブスの卵はつまらないから。
「でも僕も驚きだった。千晶ちゃんから君の噂は聞いていたが恋は盲目程度だと最初は考えていたんだよね」
「本当に怒りますよ生徒会長」
千晶ちゃんは右手でグーをつくっていた。
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