大家族

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今の言葉でいろはが何を言いたいのかはよく分かる。それは、 「さっきも言いましたが私は自由に生きているつもりですの。それに私自身が気まぐれだと言うのにどうしてそれ以上に猫をかぶる必要があって?」 そしてこのドヤ顔である。しかしこの顔、本人の意思と違いなかなか可愛いものがあった。 「僕が言っている猫かぶりはそう言う意味じゃ無いんだけどな……」 話のネタに振ってみただけど言うだけ無駄なのかもしれない。それにいろはは仮面の下の本音がたまに見え隠れするからその個性がより一層輝くのだろう。 それに意外だがいろはは家ではかなりだらしなかったりする。彼女の通う美月学園は全国的にも有名な進学校で名目上は共学だが男女完全に別れていてそれぞれ男子校、女子校状態だ。学校での彼女は制服を完璧に着こなし同性からも圧倒的な支持を得る模範的優等生。部活でバスケをする時の彼女はメガネからコンタクトに変えて的確な指示と両親譲りの運動神経と運と感の良さで無名中学の名を全国に知らしめた。 だが家での彼女はキャミソールにスパッツとアンバランスな格好で過ごしていて更にたまにだが裸シャツに下は下着一枚の時もあった。いくら妹とはいえ流石に目のやり場に困っていたら見事にいろはの親友で同じマンションに住んでいる御鏡ゆんという女の子に説教をされていた。だがこのゆんと言う女の子も生活がなかなかだらしないので説得力が皆無だったのは内緒の話だ。思っても口には出さない、だって面倒だから。 彼女はなんだかんだで猫をかぶっているが本心が出せる場所がありそこが僕達家族の前って言うのは嬉しいと言うか安心する。だってずっと猫を背負っていたら疲れる、何処かでその重荷を降ろして休まないと。 「フッ……」 そう考えるといろはを見て笑ってしまった。その瞬間、毒を吐かれる事は確定したがもう遅い。 「妹の顔を見てにやけるだなんて、流石兄さん気持ちわる」 やっぱり。終盤の方は声のトーンがかなり低くて妹ながら怖いものがあった。くわばらくわばら、 そんな感じで歩いていたら一時間がの散歩がとても短く感じ、きが着いたらマンションの前に着いていた。 「私はもう少しだけ運動をしていきたいかと」 そう言ってマカロンを僕に押し付けて地下にあるトレーニング施設に降りていった。全く、早朝から元気な奴だ。
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