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「交渉(物理)は明日の放課後にでもいこう。善は急げってね」
「そう、交渉(脅し)は明日か、分かったよ七衣」
「絶対変なオーラ出てるよあの二人、見えたらだけど……」
「黒い如月先輩、悪く無いかも」
「堺せんぱーい、大丈夫ですか?」
千晶ちゃんの顔も前で手を振る伊澄。千晶ちゃんは少しにやけていて面白かった。
「あ、ごめん。少し取り乱した」
「少し、でしたか?」
「少しです」
和むなーここ。
「それじゃあまた明日の放課後にでも来るよ。場所はここでいいの?」
「ここに来てくれると助かる。じゃあまた明日よろしく頼むよ如月くん」
「ああ、じゃあまたね七衣」
七衣が差し出した手を握った。すこし顔に違和感、きっと僕は笑っているのだろう。一度だけ手を強く握りしめそれからその手を放した。七衣も笑っている。
そんなわけで結月と二人での帰り道。僕のバイクの後ろに結月を乗せてなんとなく風が心地よく遠回りをしていた。
「今日の三味さんとっても楽しそうでしたねー。どうです生徒会、青春って感じがするよねー生徒会って」
「うん、思っていた以上に楽しいかもしれない、裏生徒会」
「……裏生徒会の存在は驚きだったけどでもそんな何気ない日常が輝かしい思い出になるんじゃないかな。青春ってそんなものじゃないかな」
「そんなものなの?」
「そんなものです。アナトール・フランスと言う小説家が名言にこんなのがあるんだよ。「もし私が神だったら、青春を人生の終わりにおいただろう。」って。この言葉って言いたいこと分かるよね三味さん?」
「つまり青春を最後に置くことで最高の時間を最後に過ごすってこと?」
「たぶん彼が言いたいことはそうなのだろうね。でもそれって本当に正しいのかな?」
「と、言うと?」
「確かに青春は人生の中でもっとも楽しい時期かもしれない。でも、でもだよ? そんな人生本当に楽しいって言えるかな? 生まれた時から苦労して最後に最高の時間を過ごす。命短し恋せよ乙女って言葉があるくらいだし青春はその時期にあるからこそ輝くんだと思うの。友達と遊んで何かに必死に取り組んで恋して……それが経験になって体験となってこれからの人生に大切なものになるんだよー」
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