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「その個性をもっと伸ばすと良い、ここはそんな学校だ。精進しろよ。あと話は変わるが修学旅行の件だ、さっきも言ったがあれは貸しだ。いつか返してもらうからな。それに比べたら修学旅行の合同化なんて安い話だ、実行するのは私じゃ無くて学年主任だしな」
黒いな。
「話は終わった。時間もそれなりに深まっている、そろそろ帰るといい」
後半は半ば一方的に話していたがおかげでうちの学校の理事長と言う人間を知ることが出来た。僕が全校朝礼とかサボっているからかもしれないが僕は今日初めて理事長を見た。僕が忘れっぽいと言うのもあるが印象の強い人は基本忘れない。
「それじゃあ失礼します」
「邪魔しましたー」
部屋を出てしっかりと扉を閉める。理事長の部屋はカーテンがしっかり閉まっていて照明も明るかったから解らなかったが日はすっかり落ちていた。
「理事長さん、食えないヒトでしたねー。年長者の威厳と言うかなんて言うか」
「言いたいことは分かるよ、なんともつかみどころの無い人だった」
廊下を歩きながら結月と話していると角を曲がったところで、
「おお、帰ってきたね」
七衣に会った。
「いやあ、伊澄くんは先に帰してさ、僕は君たちが何を話しているか盗聴しようと思ったんだけど聞こえなかった。僕は正直な人間でいたいから話すよ」
「いや、盗み聞きすんな」
一般学生に聞かれたら非常にまずい話もそこそこ飛び交っていたし。
「それで何か聞かれたのかい? 結構長い時間部屋にいたようだったけど」
「ちょっと修学旅行の件を聞かれてさ、大した話じゃないよ」
「そう? ならいいけどあの理事長普通に頭良いから気を付けてね。じゃあ帰ろうか」
僕達三人は靴を履きかえて外に出た。
「うおー星めっちゃ綺麗だなー」
部活生も帰ってグラウンドの電気も落ちていて星空が綺麗だった。凄く楽しそうな結月を見ていると自然と笑みがこぼれる。
「子供だな」
「まだ高校生ですから。大人なんてなんてもつまらないよ」
確かにそうかもしれない。
「今日はご飯でも食べて帰ろうか、僕がおごるから」
「おー三味さんが珍しい」
「如月くんのおごり、なんかおいしい所に行けそうだ」
「五月蠅い」
こんなのもたまにはいいかもしれないな。悪い気分はしない。
「あー、三味さんがニヤニヤしてるー」
「だから五月蠅いって」
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