在る日の日常

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去年の空は自分が僕の邪魔になっていると思っていた。だから自らイギリスへの留学を言い出したのだ。勿論そんな事は無い、僕を慕ってくれる空の存在は癒しだったし嬉しかった。 「そんな三味君に朗報! 夏休みのお盆に私たち一回日本に帰るから。立夏さん(父さん)のお墓参りもあるしね。三味君は今はマンションで一人暮らしをしているだろうけどお盆の一週間くらいは家の方に帰ってきて空と遊んであげると嬉しい、絶対空も喜ぶから。由羽は……あまり乗り気じゃないけど。三味君に嫉妬しているだけよ」 由羽は空の双子の兄で誰よりもそんな空を心配していた。そして僕に敵対心を持っている。 「そうそう、話は変わるけど麻里ちゃんは元気? 春休みに「しばらく電話に出れなくなるかもしれないけど元気でやっていますので心配しないでください」と連絡があったのち本当に連絡が取れないの。何か知ってる?」 西野園か……。彼女のことだろう、きっとあの異世界から帰れなくなることを予想してカトレアさんに心配かけないようにあらかじめそんな連絡をしたのだろう。 「……そうですね、西野園は今どうしてもやらないといけない仕事があると言っていました。元気でやってますよ」 きっと……。 「そうなの。でも麻里ちゃんもきっとお盆には会えるわよね。とても楽しみにしているわ」 カトレアさんは西野園を実の娘のように接している。と言うより西野園こ事を好きすぎるんだやなカトレアさん。なんて言い訳をすればいいのか……本当の事を話すべきか。 「はい、きっと西野園の喜ぶと思います」 ……つらい、こんなに楽しそうなカトレアさんに嘘をつくことが。そして西野園の事が薄れていっている自分に恐怖した。 「あ、ごめんね三味君。三味君が用も無いのに電話してくるわけないもんね。何か用があるんでしょ?」 あ、忘れていた。 「実は夏休みに友達と海に行くことになったのですが父さんはあんな性格だから別荘は持ってないじゃないですか。でも一応カトレアさんなら何か知っているかと思いまして」 「ああ成る程。立夏さんが日本に別荘を持っているって話は聞いた事ないわね。リゾートマンションなら北海道にあるけど。立夏さんスキー好きだったから。でも北海道で海は厳しいかな」 再び電話越しに苦笑いが聞こえた。
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