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自分の部屋がある階まで上っていくエレベーターはとても静かで何故かあれだけうるさかったマカロンも静かにしていた。
「お前のご主人が僕は怖いよ」
チラッと言葉に反応しこちらを見て目が合うがすぐに視線を戻した。
「黙秘ね……忠実なやつだよお前は」
いろはとマカロンが出会ってまだ一週間とちょっとしか経ってないのにずいぶんと仲が良い、理想の関係と言えるだろうか……動物には異様に優しいからな。これは良いところなのか悪いところなのかはたして。
さて、いろはに邪魔をされたけどシャワーを浴びてから布団なりこたつなりで寝ようかな。せっかくの春休みなんだから。マカロンとか抱いたら温かそうだもん。たぶん元気すぎて実現不可能と思われるが。
聞き慣れた機械音が25階に着いたことを知らせる、時間帯的に誰か起きていてもおかしくないから部屋で寝るか。
「うわぃ、三味さんがこんな時間に起きてマカロンの散歩ですかっ!?明日は雪かもしれないですねぇ~」
エレベーターの扉が開くのと共に部屋に響く高い声、一番会いたくない奴(いろは除く)に会ってしまった。
「……マカロン、僕の部屋で寝る?」
「ワンッ!!」
「三味さーん?」
キッチンで朝ごはんを作っていた前を素通りして真っ直ぐと部屋へと向かう。ここで捕まったらもう二度寝は不可能と考えて間違いない、ここはスルーと決めた。
「まさかのスルーと来ましたか、もしかして放置プレーってやつですかねぇ?でも残念だよ三味さん、私はマゾでは無いんだよねー」
「五月蝿い」
ついイラッてして反射的にでこぴんをしてしまった、もう睡眠は諦める必要がありそうだ。しゃあない、もう少ししたら皆起きてくるだろうし二度寝は捨てるか。
「イタッ、なにするんですかー」
「朝から五月蝿い」
「だって起きてきても誰もいなくて暇だったんだもん、そこに散歩から帰ってきた三味さんがいたらからむに決まってるでしょ」
自分の常識を他人に押し付けるな。残念な事に眠気はすっかり覚めてしまい他に誰か起きてくるまでこのテンションに耐えるしかない。
言いたい事を言い終わったら僕に背中を向けて再び朝食を作り出した。ブレザー制服にエプロンの状態……うん?
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