在る日の日常

11/34
前へ
/312ページ
次へ
「あれ、1番は誰?」 「ぐほっ……」 抱き合ってぐるぐる回っていた二人だが突如我に戻った佐倉が回るのを止めた為、何らかの力の法則に従って僕の方に飛んでくる堺兄。僕はそれを避けてついでに座布団と危なそうなコップを避けた。 「もしかして三味さん?」 「ごめん、僕2番だから」 「あ、3番私です」 恐る恐る黒いマジックで2番と書かれた割り箸を上げる千晶ちゃん。因みに兄は僕の横で白目をむいて倒れている。 「千晶ちゃんかー、千晶ちゃんも私の大事な後輩だぁーー!」 「ちょ、佐倉先輩?」 結月のそこそこ豊満な胸に抱きしめられる千晶ちゃん。 「羨ましい……」 「堺うるさい」 「私や三味さんや京助くん、今の3年が卒業してもずっと友達だよ? 千晶ちゃんとはずっと友達だよ、ずっ友……」 「佐倉さん?」 結月なりに思うことがあるのだろう、去年までの彼女は友達がほとんどいなかったのだろう。ううん、友達なんて作れるような状況じゃ無かっただろうし。だから葬式のあの時結月は楽しそうに、そして必死になって、 「あ、ごめんねー千晶ちゃん。ちょっと私テンション上がっちゃってさー。いけない、人間歳をとると涙腺が緩くなっちゃうって本当なんだねー」 「いや、泣いてないじゃん」 「あ、バレた?」 京助のお約束の突っ込みに照れる結月。 「けっ、安いコントなのです……お兄さん、お茶はどうです?」 「ありがとうゆん。ねえ、ゆん」 「どうしたのですお兄さん?」 「これが学生ってやつなのかな?」 「学生……ああ、そういうことですか。私もそうう……結月も去年までまともに学生生活を送ってないですからあんまり解らないなのですがお兄さんも去年から見た感じ楽しそうな学生生活……というよお兄さんなら自ら学校から逃げてそうです」 だいたい合ってる。 「私はもともと空ちゃんのいない日本であんまり他の友達とつるむ気は無いですが結月はああみえて寂しがりなのです」 「へえ……」 たまに影を見せる事はあるけど寂しがり、でも言われてみればそうなのかもしれない。 「お兄さんは相変わらず鈍感なのです」
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加