在る日の日常

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「あぁ、友達だ。京助も千晶ちゃんもゆんも結月もだ」 「え、ええ……そうですよね三味さん」 おい、なんでそこで口籠る。そして目をそらすな。 「ごめんごめん、まさか本当に三味さんに友達って言ってもらえるかもしれないし……あ、やばい、涙出てきた」 「ふふふふ、結月の不憫さに草が生えるのです」 「佐倉先輩どうしたんですか!? とりあえずハンカチどうぞ」 「ありがとう千晶ちゃん。どうしよう、涙止まんないかも……」 何故だろう、相手は結月なのに女性に泣かれると謎の罪悪感が生まれる。ゆんは隣でお腹痛そうに笑っているし、凄く悪そうな目つきだな。 とにかくこのまま結月を放置するのもなんか気が引けるし……京助とかなら上手くやるんだろうけど僕は京助じゃないし。 「結月、なんかゴメン」 なんとなく謝ってみる、すると更にゆんが笑い出して、 「それ、結月が逆に惨めなのですよお兄さん」 言葉にしてから分るゆんの正論さ。そうは言われても女性を泣かした事ほとんど無いからどう接すればいいのかが本当に解らない。あ、そうだ。 「結月は女じゃない、結月は女じゃない……」 「三味、自己暗示のつもりかもしれないけどそれ凄く酷い発言だぞマジで。まあ結月が相手なら面白いからいいか」 一見するとそんな酷い言葉も友達と言う信頼関係の上になっているんだろう、僕にはきっとまだない物だから、 「あ、でも涙止まったかも。そっちがいつもの三味さんらしいかなーって」 「……あーあ、慣れって怖いのです。結月もこれでも飲んで少し落ち着くですよ」 「あ、ありがと」 ゆんが身を乗り出して結月のグラスにお茶を注いで落ち着いてと催促していた。結月と知り合う前はゆん以上にテンション高いのはいなかったけど結月が来てから少し音ついたと言うかなんと言うか、ゆんは昔から頼りになる友人で後輩だ。この場に限ってはゆんより結月の方が子供に見えるな。 「ぷっはぁー! 落ち着いた。さぁ王様ゲームの続きをやろうか!?」 まるで滝を上る鯉ように 「ゆん、いま注いだのお酒じゃないよな?」 「ただの麦茶なのです。結月な出会った時から自分に酔ってるのです」 ゆんの目がすんごく鋭い!
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