在る日の日常

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「じゃ、じゃあ私達も帰ろう? 三味さん」 「そうだね」 この時間帯だ、少し細い路地に入れば怪しいお店もあるし怖い(めんどくさい)大人も増えてくる。何度も言うけど結月は外見だけは超一流、スカウトとかされたら面倒だ。 「結月、少しコンビニに寄っていいかな? アイス食べたい」 日がすっかり落ちたといえどまだ蒸し暑い、マナーは悪いけど駐輪場までは少しある、食後のデザートの意味合いもあるけどアイス食べたい、クールダウンしたい。 「それは良いですねー、ではここは私が奢ってあげましょう」 「……それはどうも」 僕の大っ嫌いなお酒臭い人混みを早足で抜けてコンビニへと足を運ぶ。店員の作り笑いの挨拶を受けて店内に入る、温暖化を推進するような店内の冷房はずいぶんと心地が良かった。 「最近は随分と知らないアイスが多いんだね」 どれも美味しそうだけど僕は保守的な人間だ、冒険は好きじゃない、こういうのは…… 「結月、君のお勧めとかある?」 「私の? そうだなー、じゃあこれなんかどう?」 それはよく見るアイスの期間限定盤だろうか少し高めのアイスの抹茶味だった。あまり大きく無くてクッキー生地で挟んでいるから食べやすそうだった。 「あ、三味さん抹茶嫌いとか?」 「いや、好きだよ?」 「そう? じゃあすぐに買って来るから外で待っていてっ」 「分かったからコンビニの中を走らない様に」 そんな感じで言われたとおりにコンビニの外に出る。すると、 「うわぁ……」 そこには真っ黒いスーツを着た長身のが4人いた。極道の方? 「よお兄ちゃん、その美人の姉ちゃんは兄ちゃんの彼女か?」 これってきっと僕に話しかけているんだよね、他に人いないし町を歩いている歩行者は大きくこの場所を避けて歩いている。当然か。 「それは結月の事? あいつは彼女じゃないし、あとそこに溜まったら営業妨害ですよお兄さん」 普通のスカウトっぽくは無いし……やっぱそっちの業界のスカウトかな? それにしてもベタだな。 「確かにそうだな、じゃあここを移動してあっちで話そうか兄ちゃん」 スーツの大男の指差した方向はいわゆる裏路地。結月はレジでお金を支払っていてこっちを見てない。 「いいですよ、行きましょう」 「買ってきましたよー、ってあれ? 三味さーん」
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