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「なんで制服を来てるの?学校明後日からでしょ」
するとエプロンを外して制服を見せるようにポーズをとる。顔の面は良いしブレザーを着こなしているからなんかムカつく。
「私前の学校セーラー服だからブレザーに着てみたかったんだよね、似合ってる?」
「そうですね」
今できる全力の棒読みで返したつもりだったのだが、
「やりぃ、三味さんが珍しく誉めてくれた!」
もうどーでもいーや。
「新しい学校でも友達100人つくるよー!」
「頑張ってね」
聞こえたか聞こえていないか再びエプロンを着けて料理を再開する。鼻唄なんて歌って楽しそうなやつだよ全く。
この子は佐倉結月(さくらゆづき)、歳は僕と一緒で今年で18になる。10人いれば10人振り替えるような美少女だがその他はかなり残念。諸事情により僕達と一緒に暮らしていて学校も僕達が通う東風学園高等学部に移動してきた。いろはと同じで両親がいない孤児だがまあ見ての通り元気すぎるから問題はないだろう。
「はぁ……」
寝ることを放棄した僕は軽く体をウェットティッシュで拭いてこたつに潜り込みテレビをつけた。こんなグータラな事をしていると自分がおじさんに思えるときがある、悲しいかな。
「そうだ三味さん」
「なに」
経済ニュースを見ながら結月にやる気のない返事をした。
「同じクラスになれるといいよねー」
同じクラス……、
しばらくの間場に沈黙が走りテレビのアナウンサーの声と結月が動かす包丁の音だけが響いた。因みにマカロンは僕の横で丸くなって寝てしまった。
「やだ」
「なんでっ!?」
包丁の音が止み勢いよく振り返る結月、本当に朝から元気なやつだな。
「なんでなんでなんでなんでっ!?」
エプロンを取って僕の向かって正面からこたつに入り込む結月、テレビが見えないんですが。
「料理は終わったの?」
「お野菜に火が通るまでしばらく待機。それよりなんで今の回答でやだが出てきたんですか?寂しい事言わないでくださいよー」
そんな事を言われても。
「ただでさえ学校はあまり好きじゃないのに君が同じクラスになったら穏やかな生活を遅れる確率は天文学的数値まで減少しかねない」
結月に騒がれちゃたまったもんじゃない、ただでさえ回りに五月蝿いのが集まっているのに。
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