在る日の日常

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「邪魔しないで欲しいんですよ、それに可愛い乙女の肌を殴るなんて本当にありえないし……」 ゆっくりふらふらと立ち上がった結月は笑いながらこう言った。 「ヤクザ程度が三味さんに手を出すなんて……このまま帰れると思うなよ」 その刹那、結月を殴り倒したスーツの大男は結月の全体重を乗せた肘突きで大きく飛ばされてそれから全く動かなくなった。更に呆気にとられた隣の男の膝に思いっきり蹴りを入れた。鈍い音と共にその足はありえない方向に曲がって大男はその場に蹲った。 「あと2人……」 その目は僕の横に立つ2人の男をしっかりと捉えていた。だから言ったのに、死にたいのかって。 「なんなんだあの女……くそ、こっち来るなっ!」 「おっとっと……」 完全に結月にうろたえているスーツのリーダー格の男は後ろから僕の首に手を回して拳銃を押し付けた。あー格好悪いな僕。 「三味さんっ!!」 動きを止めて何とも言えない表情でこちらを見る結月、いつも明るい結月のあんな表情、久しぶりに見た。そう、あれは確か霧島さんの葬式の日だったかな。 いつまでも遊んでいて女性をあんな表情にさせるのも悪いか……こんなんじゃ姉さんに怒られる。 「日本でそんな物騒なものを使わないでください、銃刀法違反で警察に捕まりますよ?」 「あぁ!?」 僕は頭に突きつけられている銃をしっかり握って大男が離さないのを良い事にそのまま一本背負いで思いっきり投げ飛ばした。その瞬間を見逃す結月じゃない、クラウチングスタートに近い走り方で一気に僕の後ろにいる男の所まで走る、それを見た男はハンドガンを取り出して構えようとしたが遅すぎた。 「ゴミがぁっ!」 結月はそう叫んで、低く構えて一気に上向きに顔を殴った。しかも顔面ど真ん中を。あれは鼻、折れたろうな。
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