在る日の日常

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「それに結月こそ腹部にパンチ喰らってたけど大丈夫なの?」 「ふふーん、三味さんも知っての通りこう見えても私はそれなりに鍛えているしあの程度の攻撃効きませんよ」 「ふーん……」 僕は結月の腹部にデコピンしてみた。 「ひぎゅう……」 とたんにお腹を抱えてその場に蹲る。涙まで流して、 「痛いんじゃん」 「三味さんそれはマジであかん……」 暫く起き上がれそうに無かったのでしばらく横っ腹をツンツンした後、起き上がらせて近くにあった寒暖の段差に座らせた。 「別に強がらなくても」 「イテテ……三味さんに迷惑や心配かけたくないですから」 そんな事で強がってたんだ。本当に馬鹿だね。 「いいんだよ別に迷惑かけても」 「そう……ですか」 「そりゃあ昔は憎み合っていた仲だったけどさ、」 「別に私は憎んではいなかったしむしろ……」 「ん? 何か言った?」 結月が何かつぶやいた気がしたけど小さすぎて聞こえなかった。 「何も言ってないよー。どぞ、続きを」 「そう? じゃあ話を戻すけどさ、今はおんなじマンションに住む家族なんだから迷惑くらいかけなよ。それを迷惑なんて思ってないからさ」 「家族……フフッ、私ね。三味さんや麻里ちゃんに出会うまでまともな環境じゃ無かったからね。だから今が本当に楽しいしそれに、今のこの関係を壊したくないんだよね……」 「それって今の迷惑の件?」 「半分ぐらい正解です。フフッ、三味さんが極度の鈍感で本当に良かった……」 おい、 「それって馬鹿にしてるでしょ」 「うん。でもいい意味でだね」 結月はいつも通りの綺麗な笑顔で微笑む。そこには計算は少しも無かった。 「ほら、いつまでもそこにうずくまってないで、もうすぐ橘さん達が来るから。ほら、立てる?」 「三味さんが手を貸してくれたら立てるかもしれないよ?」 なんだそれ、 「とりあえずそこにでも座ってて、僕は橘さんに説明をしないといけないからさ」 結月に肩を貸して近くの階段のような段差のあるところに持ってきていたハンドタオルを敷いて座らせる。 「あ、ども」 「結月って警察嫌いだっけ?」 「いや、嫌いじゃないけど嫌われてはいたよね。昔の話だけどさ」 「そう。じゃあ僕が話しするから結月は静かに待ってて」 「あいよー」
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