在る日の日常

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話終わった刹那、タイミングを計ったようにパトカーが3台、裏路地の手前にサイレンを響かせてやってきた。大げさなんだよな、橘さんは。 「三味君、お待たせっ、大丈夫だった?」 「はい、大丈夫です」 それは電話の内容で是非とも分って欲しかった。基本的に橘さんは心配症だから、それにお人好しで押しに弱くてついでに幸が薄い。……余計だったかな。 「それで三味君、一体何が……」 「お話は後にゆっくりしますのでまずはそこで寝ているスーツのお兄さんたちを連行してもらってよろしいでしょうか?」 周りを見渡して無言になる橘さん、 「寝ているって、この倒れている人達のこと?」 「はい、そうです」 あきらかに混乱しているけど橘さんは同乗してきた他の警察官に、 「この者たちを連行してください。とりあえずは医師の診察を受けさせましょう」 「分かりました橘警部」 ……警部? 運ばれているスーツの男たちを横目に、 「この人達ヤクザか何かなぁ、三味君、一体何があったか説明もらえる?」 「えっと、いきなり人気のない場所に誘われて襲われました、たぶん誘拐とか人さらいとかそんな類のだと思います」 「見た感じ日本人だし極道か何かなぁ……、上層部からはなんの連絡も入ってないしいったん警視庁に戻って確認しないと。今日は残業かな」 左手で頭を抱えて右手でスマートフォンをいじりだした。 「すいません橘さん」 「あ、別に悪意で言葉に出したわけじゃないから、ごめんごめん。三味君には昔お世話になったしそれに私達警察は税金貰ってるんだから市民の為に働かないとね。あ、もしもし逢坂課長、橘ですがお時間大丈夫でしょうか……」 上司への確認で少しかかりそうかな。もうパトカーへの搬送は終わったみたいだしこのまま帰るのも失礼に当たるだろう、待ちぼうけだけど電話が終わるまで少しだけ待っておこう、特に急いでいる訳ではないし。 「……では明日の朝礼で報告でよろしいですね?……はい、分かりました。では」 意味もなく立っている時間はそう長くもなかった。盗み聞きして悪いけど今夜の残業はどうやら無いみたいだし。スマホをスーツの内ポケットにしまう橘さんはすぐ横の僕に気づいたのか少し申し訳なさそうな顔をして、 「残業は無いみたいだから彼等を連行したら今日は仕事は終わり。もう夜も遅いし送っていくよ三味君」
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