在る日の日常

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魔狼と言う組織について少しだけ説明を入れようと思う。 ざっくり説明すれば魔狼は便利屋とかよろず屋とか請負人集団、そんな感じの組織だ。お金を払えばなんでもする集団。麻薬ルートの探し出しや政治家の暗殺、お金仕出しで良いことでも悪いことでも何でもする。完全に悪い組織とは言い切れないところもある。昔、ヨーロッパのとある国同士で起ころうとしていた戦争を未然に止めたりもしたのだから。やったのはゆんだけど。 それに当時の魔狼は優秀な人材が多くて尻尾を掴むことが非常に困難だった。そこで魔狼への対応に警察庁及び警視庁が特殊捜査係を設立、そのリーダーに選ばれたのが主任と呼ばれる人物。主任と呼ばれる人物は本来、捜査一課の人間らしいが任命された日から魔狼と戦っているらしい。一説によるとこの人、魔狼と戦うために警察に入ったとも噂がありまた、大きな権力を持つ家と繋がりがあるらしくその為、警察と言う大きな組織の中でもかなりの発言力があったみたいた。 そして特殊捜査係の設立から7年間の戦いのすえ、魔狼と言う大きな組織を崩壊させることができた。それが今年の年始の事だ、ごく最近まで戦いをしていたのだ。橘さんはがこの若さで警部まで上り詰めているのはその魔狼との抗争の功績もあったのだろう。橘さんは魔狼との抗争のなかで唯一の生き残りみたいなものなのだから。 「……今年の初めまで主任について働いてたのに今じゃ私が主任、か……」 感慨深いものがあるのか、感傷に浸っていた。 「とてもじゃないけど務まらないよ、あの人の後なんて」 「………………」 「えーっと、佐倉ちゃんだったよね?」 「あ、はいそうです」 この空気の中いきなり話を振られて体がビクッとなる結月、たぶん僕でもそうなる。 「あの魔狼の参謀だったんだから頭、良いのでしょ?」 「いえあの、参謀じゃなくてネゴシエーターです私。あの、この話もう止めませんか?」 結月にとっては非常に息苦しい空間になっている。天然が、計算天然を殺しにかかっている状況だ。 「じゃあもうすぐ家に着くし最後にこれだけ言わせてね。かつて魔狼だったからって罪悪感を背負う必要はない、まだ君は若いのだから自分の生きたいように生きるべきだよ。そして三味君を助けてあげてね」
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