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「もしかして三味さん私の事嫌いですかー?結月泣いちゃいますよウルウル……」
効果音を口で言うな。
「あれ、嫌いなの知らなかった?」
「これはひどい」
こたつに顔を埋める結月。因みに別に結月の事を嫌いではないが好きでもない、友達としてはいじりがいのある面白いやつ程度の認識で良いと思う。
「結月ちゃん凹んじゃうなー。あーあー」
「…………」
顔やスタイルは悪くないのにどうしてこう面倒な性格をしているのだろうか……。
「あらお二人さん、楽しそうなことですね。お邪魔でしたか?」
そう言ってエレベーターから降りてきたのはいろはだった。随分と早いな……。
「人が多くてゴミゴミしていたのでシャワーだけ浴びて戻ってきましたの。人だかりは好きになれませんわ」
いろはは喋りながら僕の横にマカロンを挟む形で入ってきた。彼女の言った通り髪はほんのり濡れていて体は火照って中学生とは思えない色気をだしていた。あといい匂いがします。
「いろはちゃんおはよー」
「おはようございます結月さん、ブレザーを着ていることに関しては面倒なので突っ込みませんことよ」
こたつの上にあったミカンを一つ取って皮を向き始めるいろは。ってかさりげなく今毒を吐いたよな。
「そうだ聞いてよいろはちゃーん、三味さんがもし同じクラスになったらやだって言うんだよ?冷たいよねー」
「はぁ……」
ミカンを一粒口に入れようとしていたいろははそれを机の上に置いてため息。
「結月さんは顔は可愛いし体型もモデルみたいで素晴らしいのですが……喋らないと言うスキルを覚えてみたら?朝からそのテンションは疲れますことよ?」
無理矢理散歩に連れていったお前が言うなと思ったが再三、いろはにツッコミを入れたら後々面倒になることが確定しているので無粋なツッコミは決してしない。
「えー、私ってそんなにテンション高いかな?」
「付け加えるなら声もかなり大きいですわよ。このマンションの部屋が完全防音じゃなければ苦情が来てもおかしくありませんわ」
「うっ……そうですか」
しぶしぶ静かになる結月。しかし、
「あ、そうだ聴いてよ二人とも。この前さ」
その静かな時間は10秒と無かった。
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