アンチヒーロー・ヤンデレヒロイン?

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「今高校なんですけど僕の横に病人がいて熱が39.4あるのですよ。救急車呼ぶにも今は他のクラスではテストをしていますし申し訳なくて、迷惑でなければ迎えに来てはくれませんか?」 『三味にも申し訳ないと言う心があるんだな。でも如月財閥の御曹司に言われたら断れないからな』 相変わらず言葉のきつい人だ。でも決して悪い人じゃ無い。 『フッ……冗談だ、後5分もしたら着く。何処に向かえばいい?』 「生徒会室まで来てもらえますか?」 『生徒会室だな、分かった。じゃあまた後だ』 「よろしくお願……」 こちらが最後まで話す前に電話を切られた。僕は無言でスマホをポケットにしまう。 「如月君……誰か呼んだの?」 息苦しそうに話すぐらいならさっさと病院に行けばいいのに。 「信頼のおける僕の従姉弟の風舞月乃(かざまいつきの)さんだよ、学校の近くにいたみたいだから車で迎えに来てもらう事にしたんだ。月乃さん来たら病院行くよ」 「……分かった」 流石にここまでされたら観念したようでもぞもぞと動いてポケットから財布を取り出して中身を確認し始めた。 そうこうしている間に、 「三味、ここか?」 なんの迷いも無く生徒会室のドアを開けて白衣を着た月乃さんが入ってきた。本当に研修が終わって帰って来るところだったんだ。別に疑っていたわけじゃ無いけど。 「すいません月乃さん、忙しい中来てもらって」 「気にするな、患者はこいつか?」 迷いなく七衣の前に立つと僕の返事を聞く前におでこに手を当てたり口の中にライトを当てて中を見ている。 「ただの風にしては体温が高すぎる、やはり病院にいって検査をしないとなんとも言えないな……三味、肩を貸せ」 「分かりました」 七衣を挟み込む形で両側から肩を支えて月乃さんの車まで運ぶ。校庭まで乗り上げていて凄く近くに車を止めていてくれて助かった。いや、そのせいで周りの視線を物凄く集めているけど。 車の後部座席に楽な体制で寝かして僕は助手席に乗り込むと車は勢いよく動き出した。向かうのは恐らく月乃さんのお父さんが経営している東風大学付属病院。僕たちが通う東風学園高等部、それにゆんの通う東風学園中等部も大本の経営責任者は風舞龍雅(たつまさ)さん。会った事は数回しかなく、厳しい事で有名だが身内には優しい人だ。
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