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例えばの話、事故現場に遭遇したら救急車やパトカーを呼んでお手伝いはするけどそれ以上は仕事のプロに任せるべきだ。今回、月乃さんが言った通りこれ以上は邪魔でしかない。七衣の然るべき処置が終わったらまたお見舞いにいこう。
とは言ったものの、
「さっきまで慌ただしかったのに急に暇になったな」
病院の外のベンチに座ってなんとなく花壇に咲いている花を眺める。七衣のやつ、手術とかするのかな?
考えてもどうすることも出来ない、でも無意識に頭に浮かぶ。
「僕もセンチメンタルになったものだね」
人間らしいと言うのか……どうでもいいや。
と、そんな時、
「三味さん? こんなとこでどうしたんですか?」
「ん?」
声の聞こえる方向に顔だけ向ける。そこにいたのは、
「伊澄くん……どうしたのこんなところで」
こちらに歩いて来ながら伊澄君は苦笑しながら、
「ちょっと三味さん、質問に質問で返さないでくださいよ。自分は色縁さんに少し用事があって来ました」
僕の横に座り込む伊澄君。僕は上を見て、
「あー、色縁さんは今忙しいよ」
「ん? 三味さん色縁さんに会ったんですか」
「……学校の帰りに生徒会室に寄ったら七衣が倒れていてさ、今月乃さんと色縁さんが検査と処置を行っているんだと思う」
「生徒会長がっ!? 大丈夫なんですか?」
座った直後だと言うのに驚きのあまり立ち上がる伊澄君。僕も最初は驚いたよ。
「検査しないと解らないけど月乃さんの見立てだと肝炎の症状からだと可能性があるって。肝炎がどのような病気かは詳しくは解らないけど、解ったら教えるから邪魔だからどこかに行けって言われてここで待機してたんだ」
「そうですか……生徒会長はすぐ無茶をするんだから」
怒ったような困ったような、そんな複雑な顔をする伊澄君。
「生徒会長は4人兄弟の長男でいわゆる貧乏苦学生なんですよ、両親も共働きでなかなか家にもいないみたいなんです。生徒会長は少しでも自分が働いて親の負担を減らさそうと、自分を犠牲にするんですよ。全く、本当に自己犠牲精神が高いようで……」
下を向いて溜息をつく伊澄君。後輩に心配されている生徒会長とはこれいかに。
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