大家族

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「昨日買い物の帰り道で野良猫に会ったんだよ。それであんまり可愛くてお持ち帰りしようかと思ったんだけどマカロンと仲良く出来るか心配で餌だけあげて帰ってきちゃった。よく犬と猫は仲が悪いって言うじゃない」 野良猫に餌付けしちゃ駄目でしょ。 「でも後からよくよく考えてみたらなんで猫と犬って仲の悪い例えに使われるんだろうねー。この前テレビでストーブの前で仲良一緒に丸くなって暖をとってるの見たんだけどな」 「犬と猫が仲が悪いって昔から西洋で言われていますわよね。日本では犬猿の仲が近いのかと。桃太郎ではきびだんごごときで買収されて仲良く一緒に鬼退治に行くというのに」 「簡単に言えば僕と結月の関係かな」 「だからさっきから酷くないっすか三味さん!?」 いちいち耳に響く声をしているよな本当に。 「そもそもどうして犬と猿は仲が悪いと言われるようになったのです結月さん?」 「どうして私に聞くの!?」 「いや、人生の先輩ですから」 本当に都合が良いよな、いつもは絶対にそうは思っていないくせに。 「えーっと、そうだな……仲が悪い理由」 そしてそんな悪ノリに真剣に考える結月。いろはに良いところを見せたいのだろうかいつもはすぐに逃げたり人に振るくせに。 「ごめん分かりません。三味さんにバトンタッチ」 ……前言撤回。二人の視線が集まるのが少し怖かった。純粋な好奇心の結月と変な回答をしたら上げ足を取ろうとするいろはの目。なんで僕の回りはこうも常識人が少ないのだろうか……。 「えーっと、これは僕の推測だけど犬猿も犬猫も僕達の回りの話じゃなくてもっと野性的な話なんじゃないかな。飼い慣らされた犬と猫はそれに馴れきってそれが当たり前になるのかも知れないけど自然の中じゃ縄張りとか敵対意識が生まれるだけなわけで仲が悪いと言うよりは自然本能に近いんじゃない?」 「ほうほう、成る程」 「さすが兄さん、正論すぎてとてもつまらない回答ですわっ」 さらっと毒を吐くな。純粋な笑顔の結月と並べるといろはの笑顔はギラギラしていた。怖い怖い……。 「じゃあ私があの野良猫を拾っても問題はなかったのかー」 「いや、そういう問題じゃ無いから」 問題違いだ。
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