アンチヒーロー・ヤンデレヒロイン?

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ブー……ブー…… ポケットにいれていたスマホが鳴り出す。相手が月乃さんだと確認してから、 『三味か。少年の病気と応急処置も終わった。今は7階の医院長室に色縁と一緒にいるから来い。そこで少年の病状も説明する。あー、親父は今は出張でいないから気楽に来てくれ』 「分りました。5分くらいで着くと思います」 僕はスマホをしまってから、 「七衣の診査が終わったって。今から医院長室に月乃さんと色縁さんがいるみたい。あ、伊澄君は月乃さんに会った事あったっけ?」 「あ、はい。大学病院と東風学園の総責任者の娘さんですよね? 何度かこの病院に来た時に会って挨拶もしていますよ」 「そっか。じゃあ行こうか伊澄君」 「分りました」 すぐにエレベーターに乗り込んで7階にある医院長室に向かう。確かこの階には医院長室に教授の部屋、それにVIP専用の病室が2部屋。なんでわざわざ7階に呼んだのだろう? 「如月三味です」 医院長室の前まで来た僕と伊澄は豪華で大きなドアを数回ノックした。 「空いている、入って来てくれ」 「失礼します」 この部屋には何度か来たことあるけどやっぱり馴れない。緊張はしないけど居心地が良いとは言えない。 「来たか。まあ適当に座ってくれ」 汗を掻いている月乃さん。今、診査とか終わって一息ついているのだろう。座ってカルテを書いている色縁さんを上から紅茶を飲みながら眺めていた。僕は進められた通りお客用のソファーに座る。 「今さっき少年、七衣純一君だったな。検査が終わったところだ。結果は最初の見た通り肝炎だ。A型肝炎と言われるものだ。そうだな、簡単に説明するなら食べ物や飲み物からウイルスが入って高熱に腹痛、それに吐き気が起こる病気だな。まあそれに加え極度の疲労だ。全く、一体どんな生活を送っていたのか気になるところではあるけど面倒だからそれはいい。君たちの気になる事を話そう。七衣君は今は気を失って病室で眠っている。この肝炎は特別危険な病気ではないが最低1か月ほどの入院が必要だ。それが終われば何の問題も無く元の生活に戻れる」 つまりは命に別状は無いと。それは本当に良かった。
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