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そんな事情があるなら今回、病気が治って無事に退院できてもそれは果たして根本的な解決になるだろうか?
そんなのなるわけが無い。釘を刺しても根本的な解決にはならないのだから。
「でもこれで良かったのかもしれませんね」
これで良かったとは七衣が肝炎や過労で倒れた事を言っているのか?
「なんでそう思うの?」
「だって自分が何度言ってもバイトを減らそうともしないし、これから夏休みに入ったらどうなるかなんて目に見えているんですよ。生徒会長が血の滲む努力をしていたのはよく知っています。アルバイトで家庭を支えつつ生徒会長の仕事をこなし更には学年トップクラスの成績を維持してきたのですから。でも完全に人間の出来る事の量を超えているんです。はっきり言わせてもらいます、アホですよ、生徒会長」
そう言って背伸びをしつつ立ち上がる伊澄くん。その視線の先には七衣が寝ているベッドがあった。七衣、君が誘って生徒会の後継者になった伊澄君は早くも君を超えているかもね。これに関しては伊澄君が優秀なのか七衣の見る目があるのか……
「あとは伊澄君に任せて安心して……」
「……三味さんいきなりどうしたんですか」
驚いたようなあきれたような顔でこちらを見る伊澄君。たまにボケるのはとても楽しい。七衣が苦しんでいる時に不謹慎だけど彼の安全が解った今、彼には自業自得の部分が含ませているから。それに今は彼が目覚めるまで特にやる事もないし。
「伊澄君」
「? どうしました三味さん」
「今更なんだけどさ、伊澄君はテストは大丈夫なの? 1年はまだテスト続くでしょ?」
なんの脈絡も無い会話、だって暇だから。
「それなら大丈夫、今日で山場は乗り越えましたし明日はもう消化戦みたいなものですから。自分、結構頭良いんですよ三味さん? それに今は生徒会長の単位の方が心配ですけどね。何か聞いてますか?」
「直接聞いたわけじゃないけど謎の達成感みたいなのは出てたから大丈夫なんじゃない? それに七衣が優秀なら単位制の授業なら問題なく取り戻せるでしょ」
それに生徒会長ともなると僕と違って最低限の単位では無くてマックスで授業を入れてそうだし。考えられないね全く。
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