12人が本棚に入れています
本棚に追加
「部活のサッカー、サボってでも行きます!」
「……気持ちは嬉しいけど大丈夫なの?」
因みに今日は部活は休み、テスト期間だからね。
「まだ1年ですし数日休みを貰ってもそんなに怒られはしませんって。大丈夫だいじょうぶ!」
「よく言うね」
この学校は文武両道で個人の個性と集団の結束力を伸ばす事を教育のメインをしている。要するに頭のいい奴は全国トップレベルがいるし部活に関しても叱り。今年この東風学園高等部に入るために鹿児島から単独上京してきた伊澄君は学力は中の上ぐらいだがサッカーに関しては群を抜いている。中学まで県選抜のキャプテンしていたみたいだし……いろはのバスケほどぶっ壊れてはいないけど将来プロも期待されている人材らしい、七衣がそう言ってた。それなのにサッカーに関して強豪でも名門でもないこの学校に入学した理由は全く分からない。詮索するのも失礼だし……面倒だ、人の奥深くまで知る事は。
「あ、バスが来た」
伊澄君と話しながら高校の前まで歩いてきたらぴったしのタイミングでバスが来た。カバンを持ち直した伊澄君はそのバスに乗るために走り出した。
「それじゃあ三味さんまた明日に! 旅行楽しみにしていますから!」
「またね伊澄君」
バスに向かって走る伊澄君に手を振りかえす。知っているか? 僕はもう1学期の全過程が終わったから終業式まで学校にくる必要が無いんだよね。たぶん行くけど、暇だろうし。
さてと、僕も早くバイクを取りにいかないと。結月や京助も先に帰ったみたいだし。
「だけど……」
その前にっと。
嫌な気配を感じる。いや、嫌な気配と言うより殺気を感じる。昔向けられた事のある殺気に比べたら可愛いものだけれどもそれでも向けられて気持ちのいいものじゃ無い。人に見られるのは好きじゃ無い。
歩くのを止めて一気に振り返る。しかしそこには誰もいなかった。隠れるならその怖いくらいの殺気も隠せば良いのに。
……不気味だ、今日は早く帰ろう。
最初のコメントを投稿しよう!