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「私さー、いろはちゃんには悪いけど犬より猫派なんだよね。勿論犬も好きなんだけど猫はツンデレだからそこがたまんないんだよね」
「勝手に猫全てがツンデレみたいな言い方をするな。気まぐれって言え」
このアニメ脳は。
「もし猫を擬人化したら黒髪はツインテールのロリッ子だよね」
「ぎじんか?」
「擬態の擬に人に化けると書いて擬人化ですわ兄さん」
「まていろは、何故いろはがそんな事を知っている?」
「淑女のたしなみでしてよ」
どこからか取り出したコーヒーカップを傾けて吟味するようにしながら話すいろは。こたつに入りながらだと全く絵にならないのだが。あと、いろはが淑女のたしなみとか言っちゃうと別の何かに聞こえる。たぶんそっちで合ってるんだろうけど。
「どうよ三味さん、ツインテのロリッ子が甘えてくるんだよー、たまんないでしょ!」
「いや、別に僕はロリコンじゃないし」
むしろシスコンです。
「甘いですわよ結月さん、兄さんは年上好きですわ」
何故知ってる。
「そーなの三味さん」
「ええ、ですからここで猫に当てはめるなら面妖なオーラ全開のお姉さんキャラが的確でしてよ。それに兄さん自体がツンデレですからそこでかけ算しても事故になるだけですの」
キャラじゃないですよいろはさん。確実に楽しんでやがる……。
「年上好きは否定しないけど別に年上だけが好きな訳じゃないよ」
ただ昔の僕の回りに尊敬出来る年上の人達が多かっただけでそれは愛とか恋とかとはまた別の感情。
「じゃあ私にもチャンスがある?」
「いや、それは無い」
手と首を横にふる。しかしその回答を解りきっていたのように笑いだす結月。
「何回プロポーズしても即答でフラれるんですけどいろはちゃーん」
「何度しても懲りないですわね結月さん」
「もう口癖みたいになっちゃってるからね。それに親友に悪いじゃん」
「…………?」
何を言っている?
「この話はおしまいですわ、なんかつまらないですので」
コーヒーを飲みきり二杯目を注ぎに行くいろはの顔は本当につまらなそうだった。それを見て軽く笑う結月。
「さーて、じゃあそろそろ朝ごはんにしようかな。出来上がったと思うし」
いろはを追うようにキッチンに向かう結月。
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