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そんなわけで翌日。
テストが終わったからもう学校に行かなくてもいいのだけれども暇だから学校に行こうとした午後1時、
「あら兄さん、どこかにお出かけですの?」
「げ……」
テスト期間で学校が早く終わったからだろうかエレベーターの前で制服姿のいろはと鉢合わせしてしまった。してしまったのだ。
「『げ……』とはなんでして? 質問に答えてはいただけませんこと?」
眼鏡を中指で上げながら悪そうに笑ういろは。……何かに付き合わされるんだろうけどどうせ暇だしそれでもいいか。
「いろはこそ何を考えてるの?」
「別に今週はテスト期間ですから部活が出来なくて暇ですから仕方なく地下でトレーニングしようと思いいったん部屋に帰ってトレーニングウェアに着替えようとしたら兄さんに鉢合わせて「そうだわ、兄さんを連れまわしましょう!」なんて考えてませんことよ?」
「さいですか……」
なんかもう、ここまではっきり言われると気持ちいいよ。どうせ暇だし。
「テスト期間なんでしょ、テストは大丈夫なの?」
その言葉にいろははドヤ顔で、
「あら、私を誰だと思ってまして? 全国屈指の進学校、聖美月学園の生徒会長でしてよ?」
まあ、心配するだけ無駄か。いろはは絵に描いたような天才だし努力も惜しまない人間だ。僕なんかが心配するだけおこがましい。
「中学レベルのテストなんて簡単すぎて退屈なくらいですわ」
美月学園のレベルが普通の中学と同じとは思えない。はてさて、ここでいろはが言っている中学レベルとはどこまで信憑性を持てるかどうか……。
「もしかして信用していませんの?」
「そんな事はないよ、いろはが優秀なのは知っているから。それでいろは、僕は暇だけど何処かいく?」
「仕方がないですわね、暇で暇で仕方がない兄さんの為に私のお買い物の荷物持ちをさせてあげてもよろしくてよ?」
「はいはいお願いしますお姫様。でも1つだけ条件出していい?」
「結構ですわ、私は寛大ですし今は大変に気分が良いですから。それで兄さん、条件とは?」
「昨日伊澄君とも話したんだけどいろはが仲良くしている友達、いろはと近くにいると仲良くしているところを見られたら視線で殺されそうだから」
「あー……」
思い当たる事しかないのだろう、上を見て考えを張り巡らせている。
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