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「フゥ……」
外から聞こえる京助と結月の話声で事態を察したのか、黙り込んで手をひらひらさせた。
「兄さんは変態でして? それともロリコン?」
まさか自分をロリの範囲に入れるとは……。ってそれどっちも変態だよね。
「別に兄さんに裸を見られるくらいどうってことはありませんことよ、昔一緒に温泉に入った仲ではありませんか」
そんな事もあったかな、旅行先の温泉で。
「それに兄さんに私の裸を見られることなんて全く気にしていませんわ、けれども着替えたいのでその腰に回している手を放していただけるとありがたいですわね」
薄いバスタオル一枚の先には女性特有の柔らかい肌の感触があった。そのことを意識すると流石に恥ずかしくなって、
「ご、ごめん」
反射神経のように腰から手を放す。そしたらいろははタオル1枚のままリビングにあるタンスを開けて下着を身に着け始めた。……確かに兄妹みたいなものだけれどももう少し羞恥心を持ってほしい。入ってきた僕が言えたことじゃないけど。
「外のテーブルには京助さんと結月さんがいらっしゃるのですよね? なら兄さんはダイニングで少しお待ちになって、すぐに着替えを済ませますので。なにか適当に飲み物でも飲んでくつろいでいてくださいな」
「そう、ありがとう」
とは言っても人の部屋のものに勝手に触るのも気が引けたから、適当に座って待つことにした。
それにしても物の少ない部屋だ。生活に必要な家具や家電、本当に必要最低限の物しかない印象だった。あ、でも調味料や食材は何故かいろんな種類があった。
「料理が出来る事は良い女性のステータスですわ、それに孤児院にいた頃はこのような事は出来ませんでしたから。昔の遅れを取り戻さないと、わたくしが目指すのは完璧超人ですから」
もう十分、完璧超人だろ。名門校の生徒会長で学力もトップクラス、運動能力も抜群でバスケで女子中学生でダンク決めるぐらいだし人望や仁徳もあるし財力もある。頭も切れるしそれに結構腹黒い。絶対に敵に回したくない人の1人だ。
「じゃあ今度いろはの手料理期待してるからね」
「構いませんけどほっぺが落ちても知りませんことよ?」
「望むところだね」
ここで喋っているのだから着替えは終わったのだろう、僕は椅子から立ちあがり後ろを振り向くとそこにいたのは……
「誰だお前っ!?」
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