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「……兄さん、妹に向かって『誰だお前っ!?』はありえないと思いますの」
「いろはか?」
「ふうん……妹の顔と声を忘れまして?」
確かにその顔にはいろはの面影があるでも今の彼女を一発で見抜ける人がいるだろうか。いつも彼女の周りにいる友達(親衛隊もどき?)でも瞬時に見抜くのは難しいだろう。それぐらい今の彼女は、
綺麗だった。
女性は高校卒業したりお化粧や服装で印象が一気に変わるなんてよく言われるけど今まさにそれを現実として体験している。目の前にいるのはいつもの清楚系腹黒女子中学生では無くて読モのような綺麗な女性だった。ああ、本当に、
生前の姉さんを見ているようだ。
「そんなにジロジロと……やっぱり兄さんはロリコンなのですね?」
まだ中学生ではあるけど自分のことをロリと言うか、何を考えているのか。
「違うよ、僕は小さな女の子が好きなんじゃ無くて妹としてのいろはが好きなんだ。それにしても君のお母さん、亜美姉さんに似て来たよ」
「母さんねぇ……わたくしは写真でしか見た事ありませんけれども確かに綺麗な人でしたわ。つまりそれは褒め言葉として受け取ってよろしくて?」
そんなの決まっている。
「最高の褒め言葉だよ」
それにこの言葉から分るように僕はロリコンと言うより姉さんに対してのシスコンだ。今はどうでもいいけど。
「ま、褒められているなら悪い気はしませんわね。兄さんのロリコンも見逃して差し上げますわ」
「あっそ……じゃあいろはの着替えも終わったみたいだからいこっか」
「それは構いませんけれどもどうやって? 結月さんと京助さんがここ25階のエントランスでくつろいでいるのでしょう? ここを出たらすぐに気づかれましてよ? 全く忌々しい……」
「いろは、素が出てる」
そこまで言わなくても。
「そうだね、別々に降りれば何とかならないかな?」
その言葉にいろはは頬をヒクヒクさせながら、
「……兄さんがわたくしの部屋から出て来た時点で京助さんは冷やかすでしょうし結月さんは小一時間は付きまとってきますわよ? 馬鹿なの兄さん?」
「うっ……」
完全に忘れていた、これは馬鹿と言われてもなにも言い返せない。どうした僕。
「しかたありませんわね、ここはわたくしに任せてください。すぐに何とかして見せますわ」
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