大家族

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「んー少し味が薄いかもしれません。いろはちゃん、味醂を取ってくれない?」 「今から味醂を?構いませんが……」 棚から醤油と味醂を取って結月に投げる。こうして見ていると本当の姉妹を見ているみたいだ。この二人はまだ出会って1ヶ月立っていないのにこの光景は微笑ましい。ってか身長は結月の方が10cmぐらい高いがベージュ色のツインテールの結月よりも黒髪ショートのいろはの方が歳上に見える。いろはの顔立ちが綺麗系に対して結月は童顔だからな。精神年齢もいろはが上そうだし。あ、結月と目が合った。 「眉間にシワがよってるよー、考え事?」 そんなつもりはなかったんだけど。 「朝ごはんになにかなーって」 「天然真鯛と大根の味噌煮だよー」 天然真鯛を味噌で煮物に……勿体ないな。 「奮発したね」 「ううん、昨日いろはちゃんが散歩中に魚屋で貰ってきたんだよ」 「私の人徳ですわっ」 猫かぶりの間違いだろ。 こたつの横にある食卓に朝食を並べて三人で席に着く。 「結月さん、さっきから気になっていたのですが残りの四人はどうしていて?」 あ、それは僕も気にはなっていた。この階にはあと四人がそれぞれ暮らしているのだがここには三人しかいない。一人はとある理由で今ここにはいないが。まあ夕食はともかく朝食は揃わない事が多いけど……。 「ん?二人は外出中で一人はさっきまでパソコンいじってて今さっき寝て一人は起こしに行ったけど休みの日ぐらい昼まで寝かせろって起きなかった」 休みの日ぐらい昼まで寝かせろって、春休みの終盤の発言とは思えないな。たぶん僕もいろはに邪魔されなかったら昼まで寝ていたと思う。なんだろう、別に夜更かししたわけじゃないのに春って眠いよね。今日は春とは思えない寒さだったけど。 「無理に起こす必要もないし別にいいんじゃない?」 「そーだね。ゆんちゃんなんか朝は低血圧だからすっごく機嫌悪いしね。じゃ、覚めないうちに食べちゃいましょう」 激しく同意だったので軽く頷いて手を合わせた。久し振りに朝に(限りなく散歩に近い)ランニング なんかしたからお腹が空いている。昔は毎日のように走っていたのだが。……どうでもいいかそんな話は。 「「「いただきます」」」
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