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本性が今にも出てきそうないろは。結月はその本性を知っているけれども僕は見たくない。トラウマに近い物があるから。
「2人してどしたの? 買い物?」
僕達2人の顔から僕の持っている紙袋に目移りする。中身はいろはの買った服と買った服に着替えた時の服。でも中身は結月からは見えない。でも、
「そのブランド……ああ、最近若い女の子に流行っている服のブランドだね。なに三味さん、女装でもするのかな、かな?」
まあ似合うだろうけどと小声で言う結月に言いたい事はただ1つ。
「そう思うなら結月の脳みそを変えた方が良いよ」
女装なんてそれこそトラウマだ、もう絶対に2度としない。……結月のせいで本当に嫌な事を思い出した。
「…………………………」
紙袋をジロジロ見ている結月と露骨に不機嫌な顔で僕の横に立ついろは。逃げていいかな?
「……結月さんこそどうしたんですの?」
声が本当に低い、もう見事にドスが効いている。
「私? えーーっと、私は……あははは、はぁ」
「あ、察し……」
焦った顔になる結月、それに対してニヤニヤとするいろは。何を察したのかやら……。
そしていろはの攻撃が始まる。
「結月さん結月さん、こんなところでこんなところをしていて良いのでしょうか? 少なくとも今っ、今はっ!! ねえ結月さんっ!!」
「う……、そ、それじゃあ三味さんにいろはちゃん。また夜に。じゃ、じゃあねーーーっ!」
ここまで綺麗な捨て台詞を初めて聞いたかもしれない、周の沢山の人が大声を出して去っていく結月を目で追っていた、僕もその1人だった。
「台風の目……」
ゲリラ豪雨もびっくりだろう、そして
「フフフフフフフフフフ……ああブザマ」
「いろは、怖いって。結月どうしたんだろうね?」
「ええ、兄さんが鈍感と言うには『鈍感』と言う言葉に失礼なレベルですわね、すいません『鈍感』さん。帰ったら土下座で謝りますわ」
「おい……」
是非、まずは僕に謝ろうよ。
土下座なんて求めないからさ。
「兄さんにその価値があるならね。ふふっ」
「さいですか」
結月の出現と言い、いろはの毒と言い一気に疲れが出てきた。今向ってるもう一軒のお店を見たら少し早いけど夕食を提案しよう。うん、それがいい。
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