アンチヒーロー・ヤンデレヒロイン?

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「うん聞いた。でも僕が言いたいのはそういう事じゃないんだよ。分ってるでしょ? ……でも言われてみればいろはの言う事は一理あるよ。じゃあ質問を変えるね、中学卒業したらどうするの?」 「中学卒業したら? その聞き方はナンセンスでしょ。「高校卒業したらどうする?」なら分るよ? 就職とか進学とかさ。兄さんは私が最終学歴が中学で働くと思ってるのかしら? 兄さんにしては面白いこと言うね。キャラ方針、変えるの?」 どうやらいろはの毒は素に戻るとキレが良くなるらしい。ああ本当に、 楽しいかも。 「……聞き方はおかしかったかもしれないけどさ、でも普通にくみ取ればいいでしょ。本当に黒いね」 「ああそういう事。兄さんの求めている答え風に言うなら進学するよ。東風学園高等部に。うん、兄さんの今いる学校だよ」 やっと求めていた答えが返ってきた。 「兄さんはその答えをしってどうする気?」 この質問事態に大した意味はない。結局は繋げたかっただけで、 「高校に入ってからも猫は被るの?」 いろはは程度で言うなら猫を『被る』程度ではすまない。猫の『着ぐるみを着ている』と言った方が良いだろう。僕や同じマンションの皆の前だとお嬢様言葉と言う猫の元、本当に楽しそうに毒を吐くけど外の世界、いろはが学校や友達の前、それや1人で外にいる時は猫を『着ている』。見ていて怖く……いや、辛くなるくらい別の人格だから。 学業中は誰からも頼られて信頼されている生徒会長、放課後は女子バスケットボール部のキャプテンでその実力は日本選抜に選ばれるほど。忙しいと言う理由で選抜に参加はしていないみたいだけど全国でトップレベル。部活の仲間や後輩からも尊敬されているみたいだ。僕はいろはの部活仲間に会った事があるからよく分る。触らぬ神になんとやらだ。 そこに僕達の知っている『いろは』はいない、顔が違ったら気づかないだろう声が違えば振り向けない。町ですれ違ったら可愛い子がいる程度の認識、決して明日を共にする事はない。 それだけ違う、外の彼女と僕の知っているいろは、は。僕の知らない自由気ままな猫なのだ。 「兄さんは面白い勘違いしてるって。いや、勘違いと言うより知らないのか……いいよ、教えてあげる。私は猫を被っていると言うより欺いてるんだよ。猫を切るなんてそんな柔いものじゃないんだよ」
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