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「私からしたら言葉通り『如月三味』は兄さんだけど兄さんからしたら私の母さんの『園山亜美』は姉さんにあたる。母さんを褒められるのは悪い気分じゃないけどそもそもその『母』をよく知らないしはっきり言うね兄さん。うん、気持ち悪いね。あーあ」
コーヒーを一気に飲み干すと両手を上げて背伸びをしだした。
「興が冷めました。兄さん、家までのドライブをまた一緒に楽しみましょう? よろしくお願いしますわね、兄さん」
席を立ちあがるとレストランの外へと歩き出した。待って、僕まだ食べ終わってない。
そんなわけで僕は外のロビーで待っているいろはを放置してブッフェの美味しい料理をゆっくりと堪能してから会計を済まして外に出る。入るときは綺麗な夕陽がさしていたがその太陽はすっかりと沈んでいた。それと同じく待たされたいろはの気分も沈んでしまったのかジト目でにらんでくる。
「いろは、」
「どうかしましたか兄さん?」
レストランを出た時から言葉遣いが猫を『着ている』けど……、これはさっきの会話の流れはもう切ったという意味だろうか、それならそう対応しよう。でもその前に、
「運転中に助手席から睨まれたらなんともいたたまれない気分だよいろは。どしたよ?」
「いえ別に……兄さん観察しているだけですわ」
兄さん観察……またこの娘は恐ろしいことを言い出した。
「なにそれ、人間観察のこと?」
「何を言いやがりますかこの兄さんは。そのような言い方では他の人に失礼ですわ」
「はいそうですか……」
いろはが暇=他人に危害、
「フフフフ……」
何故か笑いが込み上げてきた。
「いきなりどうしたのですか兄さん、気持ち悪いです」
うん、自分でもそう思う。
「それでいろは、僕の観察で何か分った?」
「ええ、兄さんを観察しても面白くない事が解りましたわ」
「余計なお世話だっ」
「……兄さんは酷い方ですわね、聞いておいて」
回答が予想の斜め上の回答すぎる、僕の方こそいろはの人間観察を始めようかな。
「じゃあしなければいいんじゃないかな」
「ええ、ですから」
と、そこでまた不適に笑い出したいろはは、口を開いてこう言った。
「兄さんの人間観察を止めて兄さんのストーカーの観察をすることにしました」
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