prologue…fragment -約束-

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「私はここに残ります、自己満足かもしれませんがもう1人の貴方を助けたいから……」 僕の目の前に立つ彼女はそう言って静かに微笑んだ。 「正気ですの姉さん、もう二度と戻って来られないかもしれないのですよっ!?」 無茶苦茶言いやがって……!! 「だったら僕も残る、君1人が体を張って守る事は無いじゃないか!」 「それは駄目です。貴方は私達の世界に必要な人なのですから。時間がありません……私なら大丈夫です、絶対に全てを終わらせて貴方の元に戻りますから」 決意が堅い、こうなったら彼女はテコでも動かないだろう。 「私は絶対に嫌です、やっと家族ができたのにこんなことって……」 泣き崩れる少女。それを見た彼女は優しく微笑んで、 「大丈夫ですよ、全てを終わらせて絶対に帰りますから。私が嘘をついたことがありますか?」 しゃがみこんで顔の高さを合わせて優しく微笑む。 「ひっく、うぐっ……ありません」 「なら姉さんを信じてください……私なら大丈夫です」 「絶対に、絶対に帰ってきてください……」 「はい、約束です」 指切りを交わす二人。それが終わった彼女は立ち上がり僕を真っ直ぐ見つめる。 「私が貴方から貰った全て、少しずつでも返していきたいんです」 彼女は優しすぎる、それは長所であり短所にもなる。もう二度と会えなくなるかも知れないのに。 「……もう決めたの?」 「はい、決めました」 微笑んでいた彼女の顔が少しだけ揺らいで頬を涙が通る。 「馬鹿だよ君は」 「……誉め言葉として受け取ります」 僕は彼女を抱き締めた。ずっと一緒に居られると思っていたのに……これからやっと楽しい時間を過ごせると思ったんだけどな。 「待っているから、絶対に戻って来なよ。約束だからね」 「はい……絶対に貴方の元に戻ります、約束です」 その言葉を聞いてゆっくりと離れる。 「じゃあまたね……」 「はい、また会いましょう……」 その直後、西野園の姿は僕の前から消えた……
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