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「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
「お粗末様です」
暫しの雑談を交えた朝食、喋りながらのご飯はマナー違反かもしれないがこんな時じゃないと顔を会わせて話す機会なんて無いから。そしてこんな平凡な時間に幸せを感じている自分が好きだったりするのだ、一年前じゃこんな未来の自分なんてとてもじゃないが想像出来なかっただろうな。
僕は全員分の食器を重ねてキッチンに持っていく。
「あ、私がやるからいいよー」
「いや、片付けぐらいやるから座ってていいよ」
席を立とうとした結月を止める。作ってもらったのだから片付けぐらいはしないと。それを悟ったいろははキッチンに来る。
「僕が洗うから拭いてくれる?」
「了解ですの」
水を出して洗い始めたのいいが、
「じーーー」
キッチンのカウンターを挟んで反対側からジト目で見てくる結月、一体何がしたいんだか。
「なんか私だけ仲間はずれにされている気がする」
「それは被害妄想だよ」
本当にめんどくさいな。
「やっぱ私も手伝うよ、暇だもん」
立ち上がってこちら側に回って来て僕の横で食器を洗い始める。
「三味さん今日は時間ある?」
「どうして?」
「そろそろ暖かくなってるくから新しい春服を買いに行きたくてさー、今日は寒いけど」
「なんで結月の彼氏でもない僕と服を買いに行くの?」
同姓なら分かるけど異性と服選びってどうなんだろう?
「別に普通だよねいろはちゃん?」
降られたいろはは。少し悩んでから、
「どうなのでしょう、私は異性とは行ったことは無いですが……」
「どっちみち僕は今日用事があるから無理なんだけどね」
「なんか最近三味さん性格悪くないですか?」
昔からです。
「じゃあいろはちゃん一緒に行かない?」
食器を洗い終わり手をタオルで拭きながら結月、最初からいろは誘えば良いのに。
「二時まで部活がありますがその後なら構いませんわ」
「分かったー、じゃあ私がその頃迎えに行くから。学校にシャワーあるでしょ?」
「ええ」
楽しそうに話す二人の横を過ぎて僕は自分の部屋に向かう。
「三味さん寝るの?」
「勉強だよ勉強」
この後の用事の復習をしないと。
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