大家族

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「どうですそれ、面白くないでしょ?」 「確かに面白くは無いけど……」 勉強なのだから楽しくは無い、たまに勉強が楽しいと言う人がいるけど正直その感性は全く理解が出来ない。僕は暇潰し程度には勉強をするけど。 「こう言うのも少なからず大事なんじゃないの?」 分厚い辞書のような本を閉じてれんとさんの方に渡す。それを受け取ったれんとさんは本棚にしまった。 「ええ、確かに必要性はあるかも知れませんが貴方のお父さんを見ていると必要性が無いとも言えます。時代は常に変化しているのですからその時代に合わせたやり方が必要になっているのです。」 因みにさっきから僕とれんとさんが何の話をしているかだが、帝王学……という物を知っているだろうか? 僕も名前だけは知っていたが見たのは内容を知ったのは今日が初めてだった。帝王学とは簡単に言えば人の上に立つ者としての心得や作法等の人格形成事の事だ。断じて経営方針等ではない。僕も最初はそう思っていたのだけでも……。 「私は幾度が君のお父さんと働いた事がありますがあの人は凄い御仁ですよ、世界があの人に合わせているような運の良さとあらゆる人を惹き付ける魅力のある人でした。そして類は友を呼ぶとでも言いましょうか、あの人の回りを取り巻く幹部も優秀な人ばかりです。如月財閥は成るべきして成ったとでも言いましょうか」 …………。 「褒めすぎ、確かに父さんは経営者としては群を抜いていたけど人としては少し欠陥があるんだよね」 優しすぎる……自分を犠牲にしてまで他人を幸せにしようとする人間だから。 「それにれんとさんだって僕から見たらかなり優秀な人間だと思うよ?」 「いえいえ、そんな事はありませんよ」 笑顔でやんわりと否定をするれんとさん。謙虚だがこの人にはかなりの実力がある、近くで見ている僕にはそれが良く分かる。 「私は立夏さんのやり方を真似ているだけですから。この業界の勉強は必死にしましたがそれでもまだまだ立夏さんの足元にも及びません。近くに居たから分からないのかもしれませんがそれだけ貴方のお父さんは偉大な人間だったと言う話です」 ……近くに居たと言うか当日父さんと大喧嘩してまともに顔も会わせていなかったからな。第一財閥を次ぐ気が当日全く無かった。今は有るかと言えばこれも微妙な質問となる。正直あまり継ぎたくはない。
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