大家族

25/45

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
「勉強って他人からやれって言われたらやる気がしなくなるよね」 「よく分かります。反骨精神とでも言いましょうか、その人のいいなりになっているように感じるのでしょうか。でもそれも今考えてみたら子供っぽい考えなのかもしれませんね」 「そうだよね」 受け言葉に返し言葉、笑うれんとさんに対して笑顔で顔したが僕はやっぱり無理に勉強しろって言われたらしたくなくなるだろう。なられんとさんの定義では子供っぽいってことだ。なんかそれは嫌だから適当に返してみる。 「僕は言われないぐらい先に勉強するかな」 幸い、昔の僕を取り巻く環境はそんなことをいう人はいなかった。一度だけ小学校の時に学力的な意味で落ちこぼれた時があったんだけどその時も誰にも何も言われなくて危機感を覚え、その日からの勉強量は凄かったのを今でも覚えている。テスト前、ましてや受験前でも無いのに一日四時間とか勉強をしたもん。今思うと僕ってあの頃から無趣味だったんだな。 「大学を出た今だから言えますが学生時代の勉強って知識をつけることよりも勉強を習慣にさせる為のものだったのでは?就職してからが本当の勉強の始まりなんですから」 「その道を極める的な意味?」 「そんな感じです、人生は終始勉強の連続ですから。実は人って回りから何も言われないと逆に勉強を自然とするようになるらしいですよ、なんとも天の邪鬼な生き物です」 「そう……なんだ」 じゃあなに、僕は無意識の内に回りにそんな環境を作られていって訳? 「三味さん、顔がひきつっていますがどうかされました?」 「なんでもない……」 ちょっと虚しいだけ。 「話を戻しますが言われないと勉強をする、更にそれに使命感が加われば人は本当に無意識の中で勉強をするのですよ。仕事についてからはまさにそれが当てはまるのではないでしょうか?一人暮らしなんて始めたら回りは何も言ってこない、そして早く仕事を覚えないといけないというプレッシャー。こうなったら嫌でもしないといけなくなります」 「勉強勉強と言われる学生時代はしないのに卒業したら仕事を覚える為に何も言われないのに勉強……なんとも滑稽な話だよ」 結局自分で気づけないと先には進めないって事なのかな。
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加