大家族

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ひょこっと京助の後ろから出てきたのは結月だった。なんでこいつがここに……しかもご丁寧にブレザーまで着て。 「うわービックリしたー」 警戒心の強い京助の後ろに着くのは凄いな……じゃなくて、 「なんでここにいるの結月?」 今日、入学式に僕と京助の手伝いをさせられているのは簡単に言えば去年、学校をサボりすぎたからその罰を担任にさせられているわけだ。本来は多分クラス委員長とかがするんだろうだろうが。だいたい始業式は明日だから結月は学校に来る必要も理由も無いだろうしそれ以前にまだこの高校の学生じゃ無い。彼女の考えることはよく分からない……。 「ん?今日は挨拶に来たんだよー。私ってこの学校に友達がいない訳でしょ。だから三味さんや京助君と同じクラスになるように入学式始まる前に校長に直談判してきたんだよ」 「直談判って……そんなもん通じるもんなのか?」 「無理でしょ。で、どうだったの?」 「へっへっへ、山吹色のお菓子でバッチリでしたよ」 ブレザーの袖の下からなにかを取り出す仕草をする結月。それは山吹色のお菓子じゃなくて袖の下でしょ。 「へぇ、うちの校長袖の下が通じるのか」 「そうじゃないでしょ」 感心している場合じゃないぞ京助。やる結月も結月だが受けとる校長も校長だよ。 「冗談だって冗談、そんな怖い顔をしないでよ三味さん。お金なんて渡してないですから。本当は私の彼氏は財閥の御曹司だよってちょーっと脅してきた」 「おいこらテメエっ!」 「ハッハッハッ!!」 横で入学式をしているから声を抑えつつ笑っている京助の横を抜けて全力で結月を追いかける。絶対に訂正させるてやる! 「まて結月っ!」 「うそ、速っ!」 すぐに結月を掴まえて襟を掴んで持ち上げる。 「私100m12秒前半だよ、意味解んない!?」 僕は11秒前半だ。 「あんまりふざけていると怒るよ?」 「もう怒ってるじゃないですか!!」 本当にやりづらい……テンション高すぎだっての。 「まぁまぁ三味、あまり五月蝿くすると迷惑がかかるからさ」 「むぅ……」 「京助君優しい!」 「後でやれ」 「了解」 「ちょっとぉー!?」 とりあえず手を離して結月を降ろした。
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