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「食べ過ぎたかもしんない……」
普通盛りより少なめに盛られた野菜カレーを全てお腹に押し込んだ結月は苦しそうだった。
「ほら結月、水」
「ありがと京助君」
受け取ったグラスの水を一気に飲み干す。満腹状態での水がはたしてどれ程の効果を発揮するかは分からないが飲み干した本人が満足そうだから良いのだろう。
「はぁー、辛かった」
あ、そっちね。
皆食べ終わったところで皿を下げてもらい一段落、店を出ても昼間でする事も無いしこの3人で顔を会わすこともなかなか無いから軽く話してから帰っても良いだろう。
「それにしても今日で春休みも終わりかー」
独り言のように呟く京助はそれでも少し明日からの学園生活が楽しみなのだろう、顔はにやけていた。
「京助君やっぱり楽しみ?学校。私も楽しみだなぁー。前の学校は仕事が多くて行けなかったからさー、今年はたくさん遊んで思い出をつくるんだ。青春を無駄にはしないよ」
「去年は体育祭や文化祭も諸事情で楽しめなかったし。三味なんか体育祭サボったしな」
「だって面倒じゃん」
笑いながらおちょくる京助。体育祭に関しては運動神経抜群の京助がいれば優勝は安泰だしなによりあの夏の暑い炎天下の中、走りたいなんて思わない。汗がベタベタするししばらく経つと匂いがきつくなる。あと個人的に制汗剤もなんか気に入らない、分かる人は分かると思うが体育の授業の後の教室で制汗剤で皆が体臭をごまかして逆に臭くなる感じが嫌だ。きついトイレの芳香剤みたいになる。
「えー体育祭楽しいよー。ねえ京助君」
「いや、俺も出来ればサボりたかったんだけど先生にそれがバレて出ないと単位あげないって脅されたから仕方なくね。しかも知らないうちにクラスのリーダーに仕立て上げられていた……今年あたりは三年生だし代表あたりにさせられるんじゃないかって心配なわけよ……」
「じゃあ僕が京助を推薦してあげるよ」
「マジで怒るよ」
「じゃあ私は三味さんを推薦しよっかなー」
「え……」
思わず京助の横に座っている結月に目が行く。いい笑顔しやがるなこいつ。
「ナイスだ結月、その手があったかっ!」
「でしょー。お礼に私と付き合ってよ」
「それはない」
「えーー」
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