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「確かに俺なんかより三味が代表したほうがいいかもな。俺と違って三味には人徳があるしな」
勝手に話を進めるな。それに僕には人徳はない、こんな性格だしね。
「人徳なんてそんな高貴なものはあいにく持ち合わせていません。僕が持っているのはせいぜい運ぐらいだよ」
僕なんて運だけで今日まで生きてきてるようなもんだから。
「またまたー、謙遜すんなって。お前なら絶対にできる、それは俺が保証するから」
「五月蝿い、自分でしたくないだけだろ」
「そうだよ?」
こいつ……絶対に京介にやらせてやる。そもそも代表なんて協調性のない僕には出来るわけがない皆もついて来ないだろうし。こういうのは絶対に京助が向いてるんだから。
「よし決めた、今年も体育祭休もう」
自主休講。
「なぜその結末に至るのですか三味さんっ!?せっかく三人同じクラスになったんだから一緒にやろーよー」
あなたは駄々っ子ですか。ってか同じクラスになることは確定なんだな。
「うーん、三味がサボるなら俺も休もうかな。うん、多分インフルエンザだろうし」
随分季節外れですね。
「それあれでしょう、三味さんが出ないと京助くんが半ば強制的に代表にさせられるみたいな」
「それもあるけどインフルエンザだからしかたないよね」
「うん、インフルエンザならしかたない」
これは僕もインフルエンザかな、体育祭九月だけどそれくらいの季節なら夜は肌寒いだろうし。
「インフルエンザインフルエンザって何でもかんでもインフルエンザのせいにするなっ!もう私はインフルエンザがあまりに不憫でかわいそうで……」
……どうした結月、とうとう壊れたか?いや訂正、彼女は出会った時からすでに壊れていた気がする。会話全く通じなかったし勝手に話を進めるし、逆に突っ込みに回る彼女はレアだな。
「あれだよあれ、結月も一緒にインフルエンザにかかればいいんじゃないか?同じマンションの同じ階に住んでいるわけだし」
「ああ成る程……ってバカやろぉー!青春をなんだと思っているんですか、ふざけんなぁー」
耳に響く声で叫ぶ結月。しかもなんだか泣き出したし。嘘泣き……じゃないな。でもこんなことで狼狽える僕と京助では無い、いつも迷惑かけられているし……いや、今も十分迷惑だな。
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