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カレーショップを出た僕達は(結月が五月蝿く半ば強制に追い出された)特にやることも無くなったので家に帰ることにした。物凄く自然に結月が僕のバイクの後ろに乗るのは突っ込まない事にしたがサイドミラーを覗くと後ろを走っていた京助がニヤニヤしていたのでなんかムッとした。
「京助、何が面白いの?」
「いやいや、仲が良いことで。俺も誰かに構ってもらいたいね」
「彼女はどうした?」
数回会ったことがある京助の彼女。他校に在籍していて彼女の方が京助にぞっこんだった気がする。
「あれ、言ってなかったっけ。去年の夏ぐらいに別れたんだけど?」
そんな話は初めて聞きました。それにしても去年の夏か……その時期は確か、
「それって僕のせい?」
「違うね、ただの自己満足」
インカムを通して聞こえる京助の声はいつも通り明るかった。でもきっと複雑な感情があるはずだ、誰からみてもベストカップルだったから……いや、だからこそか。
「なんかごめんね」
「だぁー、謝んなって、そんなのお前らしくないからっ!」
「……違いないね」
何故か分からないけど少し笑いが込み上げる。人からの人望があって基本いいやつな京助、だが自分の事となるとやはり耐性が無いと言うか……楽しい奴だ。学校が嫌いな僕がそれでもそれなりに学校生活を送れたのもきっと京助がいたからだ。去年と言う殺伐の一年を生き抜いた大切な親友の1人、大切な仲間だ。
「京助」
「なんだよ」
「今年も1つよろしく頼むよ」
「へへっ、それはこっちのセリフだ。お前といると退屈しないからな」
本当に楽しそうに喋りやがる、それが彼のらしさなのだけれども。
「さーて、今年はどんな1年になるかな」
インカムのスイッチを切って独り言。きっと今年は楽しくなりそうだ。
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