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「とうとう私の出番なのです、長かったのですよお兄さんっ!!」
「テンション高いね、ゆん」
どうしたどうした。
「そりゃあそうなのです、だいたい私の登場が六人目だっていうのがおかしいですっ!!」
彼女が何を言っているのかがよく分からない。
「どうしたどうした」
しまった、つい言葉に……それにしても本当に楽しそうにはしゃぐな、見ているこっちまで元気になるから不思議だ。
「この御鏡ゆん、今日と言う日をどれほど楽しみにしていたと思ってるです?我が世の春なのですっ!」
どうもご丁寧にフルネームでの紹介ありがとうございます。今言った通り彼女の名前は御鏡(みかがみ)ゆん。僕の友達ありで後輩。いろはと同い年で今年から中学三年生だが学校は別。色素の薄い銀髪ショートが特徴的なとても小柄な少女だ。
そんなわけで今日は結構昔から約束していた一緒に買い物を実行しているわけだ。当の本人はデートだと言い張っているがまぁそれでも良いか。
「それでゆん、今日は何処か行きたい場所でもあるの、約束は約束だしどこでも付き合うよ?」
春休み最終日の昼下がり、きっとどこも混んでいるから行きたくないってのが本年だけど……こんなに楽しそうにしているゆんの前では口が裂けても言えないが。
「それじゃあ手始めにおもちゃ屋さんに行くです、在庫が切れてしまった物があるですから!」
おもちゃ屋か。年相応の可愛いところがあるんだな。この年頃の女の子がどんな物を買うのか興味が無いと言ったら嘘になるね。って在庫が切れた物?
「ゆん、何を買う気?」
「それは着いてのお楽しみなのです」
別に楽しみにはしていないけど気にはなるんだよなぁ。
人で溢れた街の中前を歩くゆんに付いていく。ゆん自体基本は引きこもりでパソコン大好きで学校や特別な用事がないと家から出てこない、それに何度かゆんの家に上がったことはあるけどぬいぐるみとか玩具なんて見たことない。あるのはパソコンやそれ関連の機材みたいな物ばっかだし……やっぱり気になる。付き合いが短いわけじゃないけど謎が多いな、ゆんは。
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