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しばらく街の中を歩くとゆんの目的地であろう多目的ショッピングルームに着く。中に入ると人ごみは更に増して正直今すぐにでも帰りたかった。なんで歩いてきたんだろう、ゆんを後ろに乗せてバイクで来れば良かったんだけどゆんが歩いて行きたいとか言うから。
「?なんでそんなところで止まっているです?早く行くですよ」
あーあ、行きたくないなぁ……絶対に暑いだろうな、ゴミゴミしてるなぁ。
「お兄さん?」
「行きますよ行きます」
覚悟決めますか。
「おもちゃ屋は4階だったっけ?」
「そうなのです、さっさと特攻するですよー」
さっきにもましてゆんの足が早くなる。ゆんがおもちゃ屋で欲しがる物なんて全く見当がつかない。エスカレーターに乗りながら考えてみる。が、面倒になるからやめた。
「やっと着いたのですー」
店に着いたとたん更に早く小走りになる。頭の中人への毒しかないいろはとは違って歳相当の可愛さみたいなものがあるよな。少し和む。
店内に入った途端中は見ないでレジの方へ進むゆん。そして取ったのは小さなカード。これって……
「それってあれだよね、ネット上で使うマネーをチャージするためのカードだよね」
そのカードの一万円分のカードをぱっと見た感じで二、三十枚手に持っているんだが。
「ゆん、それ全部買う気?」
その言葉にゆんはまるで僕の質問がおかしいかのような顔をする。
「ん?今日はこれを買いにここまで来たですよ?」
マジか……。なんに使うんだよそれ。ってかこれ僕要る?まさかそれ……
「ネットゲームってやつ?」
「おおーお兄さんよく分かったのです、最近ハマっているオンラインRPGがあってそれに使うのですっ!」
「………………」
たかがと言ったら失礼にあたるかもしれないがゲームに数十万円も使う気かこの娘は。金の無駄遣いだろ絶対。
「いわゆる課金ってやつ?」
「そうですが?」
恐ろしい娘っ!
「あ、お兄さんもしかして馬鹿にしてるです?」
「いや、してないけど」
ちょっと引いているだけ。
「ぜっっっっっっったいに馬鹿にしてるですっ!」
「だからしてないって」
大体そう思われると思うならなぜ買い物にさそった。
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