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「お兄さんは何も分かってないですっ、こう見えても私はそのオンラインゲームの全国ランカーなのですよ!」
知らんがな。まぁそれだけ課金すればね。
「ゲームのレベル上げを自動でやってくれるプログラムも組んだのです、全国上位の私に死角はないっ!」
「違法じゃないだろうな、それ」
ゆんもいろはに負けず劣らずなかなか危ない思考をしているな。最近の女子中学生って怖いかも。
「バレなきゃいいんです、私がたかが民間ゲームメーカー如きにばれる訳がないのです」
そうか忘れてた……こいつは天性のコンピューターマニアだった。マニアと言うかパソコンの天才。その能力だけで大金を稼いだ人間なわけだ。それをネトゲに課金しているわけだが、勿体無い。
「ねぇゆん、今日ここに買いに来た物ってそれだけ?」
「そうですが?」
虚しくなってきた。僕の存在理由はいったい……レジに並ぶゆんを横目で見ながら少し考えた。
「なんでボーってしているんです?」
「いやさ、考えたんだけど買いに来なくてもネット上で買えるんじゃないのかな。電子マネーって」
「確かに便利な世界なこの世では基本なんでも出来るです。でも残念ながら私は未成年なわけなのですよ」
「あぁ……」
ゆんのハッキング技術やなんたらを使えばどうにでもなりそうなんだがそこは律儀に守るんだな、もう分かんねぇ。
商品と引き換えに三十万を受け取ったレジの店員さんはすんごく驚いた顔をしている。そりゃあ見た目小学生か中学生の女子からこんな大量の諭吉さんが出てきたら僕でも驚く。そんなことも知らずに等の本人は嬉しそうな顔をしている。もう頭の中は帰った後のことでも考えているんだるなー。本当に可愛い奴だよ全く。
「お兄さーん、買い終わったのですー!」
レジの向こうでゆんを眺めながら待っていた僕の元に走ってくる。
「もう用事は終わり?」
「んーメインは終わったのですがせっかくお兄さんとデートに来ているのですからもっといろんな所を回りたいかなーって思うのです」
あなたデートで完全に私用の物を買ってましたよね、あと他人からみたら絶対に本当の兄妹に見えるだろうな。まぁ、帰っても特にやる事はないしね……。
「じゃあ次は何処に行く?」
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